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拒絶されないiPS作製 移植治療の費用低減も

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    再生医療・幹細胞生物学研究者

    拒絶されないiPS細胞というのはよく Universal iPS cell と表現され、そのコンセプトは実は以前からあるものです。今回の論文は既存のテクノロジーにさらにひと工夫して、免疫拒絶をされにくくした事を示しています。

    まず免疫拒絶の一番大きな原因とされているのはHLA(Human Leukocyte Antigen: ヒト白血球抗原) のミスマッチです。
    HLAは白血球の血液型として最初に発見されましたが、実は白血球だけにあるのではなく、ほぼすべての細胞と体液に分布していて、組織適合性抗原(ヒトの免疫に関わる重要な分子)として働いていることが後に分かりました。

    このHLAの型をある種類の免疫細胞がチェックする仕組みを我々は備えており、臓器移植や造血幹細胞移植時にこのHLAが適合しないと異物と認識して攻撃されてしまいます。良く型が合う合わないの話をしているのはこのHLAの事です。赤血球の血液型であるA,B,O,AB の血液型とは異なりHLA型の組合せは複雑で、数万通りです。親子や兄弟の間でも一致する確率は低く、まして非血縁間では数百〜数万分の1の確率でしか一致しないといわれています。

    これまでにこのHLAを遺伝子改変によって無くしてしまい、ミスマッチを防ごうという技術がありました。しかし我々の体は良くできていて、HLAを表面に持ってないモノを見つけて殺してくれる免疫細胞もいます。細菌などの異物は最初からHLAは持っていないので、考えてみれば当たり前かもしれません。HLAはいわば体内に存在するために必要なIDパスの様なものなのです。

    ではどうするか?

    そこで更に、そういった免疫細胞にも大目に見てもらえるようにする特別扱いパスみたいな分子の出番です。今回の論文はHLAを除いた上で、「自然免疫応答に対して“don’t eat me”シグナルを提示するCD47タンパク質」を出すように改変した細胞を報告しています。


    Hypoimmunogenic derivatives of induced pluripotent stem cells evade immune rejection in fully immunocompetent allogeneic recipients. Nature Biotechnology, 18 February 2019


  • 総合内科専門医・循環器専門医 医長

    三嶋さんがとても勉強になるコメントを書いて下さっているので。私は日本の移植医療のことを。


    現在、心臓移植待機登録患者数が729人、昨年の心臓移植が55件。人口当たりの臓器提供件数が諸外国、近傍の韓国よりも圧倒的に少なく、2012年の統計で、人口100万人当たり日本0.9人、韓国8.4人、アメリカ26人。

    ドナー不足については様々言われてはいますが、現実的には現場で積極的に話がされていないというのが一番の理由だと考えます。

    先日の小児例でも両親が「誰かに頼まれると自分のものをあげる優しい子だったから、最後までそうしてあげるのがあの子の想い」というようなことをおっしゃっていたかと思いますが、実際には辛い決断ですが「誰かのためになるなら」とおっしゃる方は患者本人も家族も少なくないです。最期の希望を叶えてあげたいと思うところですが、現実には今まで経験がない(話をした経験がない、脳死判定を依頼した経験がない、提供したことがない、など)ために臓器提供とならないことが多いようにも思います。
    (5類型施設でない病院ではそもそもできませんが)


    移植後は超急性・急性・慢性と、どの時期においても拒絶反応が生じえます。現状では強力な免疫抑制療法で管理していますが、9時21時に毎日正しい量を365日飲み続ける必要がありますし、血中濃度をみる採血も月に1回、さらにはそれで拒絶反応が起きていないか確認する検査入院も半年〜1年に1回(移植後早期は2週間〜2-3か月に1回)。
    まだまだ移植患者数がそれほど多くないので、(医学的な条件という意味で)選ばれた患者さんにしか行われておらず、さらには非常に密な管理をしているため、日本の心臓移植成績は諸外国を上回る成績を出しています。マジメできちんと薬を飲む方が多いから、とか色々言われますが。

    この辺りの薬、薬の管理、拒絶反応の確認、拒絶反応時の治療など、解決すればドナー不足の問題だけでなく様々なメリットが期待されます。


  • 放浪民 某大手メーカー

    三嶋先生のコメントが大変勉強になりますが、CD47と聞くとやはりガンとの関連性が気になります。
    iPS細胞には未分化の細胞がガン化するなどのリスクが有ったと思います。この時CD47が居るとガン化の問題がより重大化するんじゃないかとか、そういう事を邪推してしまいます。何かしらガン化をクリアできる技術が既にあるのでしょうか。

    ドナー不足の問題を解決しうるアプローチとして重要な技術だとは思いますが、遺伝子改変に伴ってiPS細胞の分化能に何らかの影響が出てしまうのではないか…といった事も気になります。今後どう展開されていくのか気になる話です。


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