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Netflix's relatively simple business model involves only one business, its streaming service.
業種
動画配信サービス
時価総額
37.7 兆円
業績
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(1)普遍的なテーマ
こんまりさんが提唱するのは「片づけ」で、普遍的なテーマです。
こんまりさんの世界的人気を通じてわかったことは、「片づけ」に悩む人々がこれほどまでに多いのか、ということ。
日本で暮らす我々と同じように日々の片づけに悩む人が海外にもいて、それが原因で夫婦喧嘩をしたり、家族がギクシャクしたりしているということです。
我が家でも、思い当たることがあります笑
日常生活をいかに彩っていくか、豊かにしていくかというのは、雑誌を中心とした女性メディアが果たしている役割です。
これは「平凡さ」といいますか「日常」というものかと思います。
(2)メソッドの「グローバル化」あるいは「英語圏でのローカライズ」
こんまりさんは、著書の英語版が出た後、英語の勉強をし、海外での居住も進めていました。ウェブを通じて、こんまりさんが自ら片づけコンサルティングをする家を募集したりも。
国別に家の構造も風習も違うので、片づけメソッドには調整が必要だったのです。
いわば地道に、メソッドの「ローカライズ」を進めていました。
同時に、着る服やメイクも、海外の人に受けるようなものに変わっていきます。
いきなり大ヒットしたのではなく、準備期間がしっかりとあったということです。
映像を観ると、片づけをする前に、依頼者と一緒に家に向かって祈るようにご挨拶をしたり、処分する洋服に感謝を捧げたりしています。
こんまりさんを前から追っかけている私としては、以前から変わらないスタイルで、特段ショーアップしたわけではないと思います。ですが、英語圏の視聴者に神秘的な印象をもたらす効果を映像制作者は意識しているでしょう。
こんまりさんには、人を感動させるエネルギーがあるわけですが、これをドキュメンタリーとして映像化するために、Netflixの映像制作ノウハウが生かされているということは感じました。
世界で億を超えるユーザーが使っていることで、観たことを話題にもできるし、大きなプラットフォームの強さも実感しましたね。
こんまりさんからは、片づけの方法と効能だけでなく、同時に世界展開の方法をも学べるのでした。
この番組を夫婦で観た結果、次の連休、我が家は片づけに集中することに決まりました。
一つは日本コンテンツに普遍性がありうると言うこと。東洋人で、(それほど)美人でもなく、英語も(それほど)できず、コンテンツとしてのとんがりがなくても、日本の生活スタイルの中から抽出したものに世界的な共感を呼ぶものがたくさんあり、世界展開可能と言うことを証明してくれている。コンテンツを世界に合わせるのではなく、世界に展開できる普遍性を探すことがもっと大事なのだ。アニメの世界で世界的にヒットしているものもローカライズより、共感性が大事なんだと思う。
そして二つ目は、マーケティング上、ネットフリックスのようなネットメディアにのる方が世界展開が早いと言うこと。これまでは国毎にローカライズされたテレビやメディア戦略にのっかるのが当たり前だったが、ネトフリ、プライム、そしてインスタやFBも含めたネットプラットフォームにのるとグローバルへの拡散がこれまでにない規模で起こる。日本のコンテンツ業界にはなかった発想がここにもある。
最後に、こんまりさんは、意識的にアメリカに拠点を移し、意識的に世界展開を考えてきたそうだ。そのために法人化し、外資系企業の経験者を幹部にいれ、徹底的に戦略を考え、決して個人企業ではないような世界展開を意識的にやってきた。日本の大企業にもできなかったことをやって見せてくれていることに、大いに感謝し、称賛したい。
そこには、動画ストリーミングにおけるトレンドの大きなシフトがあり、日本型コンテンツのチャンスがそこにある。ジャーナリストのパトリック・セント・ミシェルさんの鋭い寄稿をぜひ御覧ください。
歌は世につれ、というのは、ヒットは聞く人が作る、という意味なんだよ。ここを作る側がよく間違えるけど。過去、一度たりとて音楽を制作する側がヒットを作ったことはないんだ。作る側はあくまでも〝作品〟を作ったのであって〝ヒット曲〟は聞く人が作った。 (大瀧詠一『大瀧詠一 Writing & Talking』より)
そして、この記事から抜き書きします。
実は、アメリカの視聴者たちは、この番組が「退屈(boring)」であることに惚れ込んでいる。
長年、ドラマチックな展開と、口論やバトルが連続するリアリティ番組に浸された彼らにとって、テラスハウスは非常に「心地よさ」を感じるものなのだ。エピソードが更新されると、視聴者らはSNS上で活発な議論を交わし、数え切れないほどの記事が生み出されている。
ヒットは見る人がつくるのです。
シンガポール版メルカリのような「カルーセル」の共同創業者うちのひとりの方のスピーチを聞くことがありました。公共図書館のイベントなので、私が影響を受けた本がテーマ。そのなかで、コンマリさんの本があげられ、ビジネスのインスピレーションになったとのこと。
カルーセルはメルカリよりも創業は一年早いです。
恋愛番組としてテラスハウスが流行るのは「日常を投影している」のと「暴力ではなくコミュニケーションによって展開が進むこと」だと思います。
バチェラーは用意されたステージで激しく奪い合う非日常的な恋愛ですが(日本人は最近この閲覧率が高い)、テラスハウスは出演者同士が話し合いながら、静かに奪い合う日常的な恋愛です(背筋凍る時ありますが)。全シーズン見ていてそう感じます。
あまりにも世の中のスピードが速すぎる。ちょっと自分の暮らしを見つめると、そこに安らぎがある。整理整頓もそのひとつ。小さな幸せがそこにある。
100人10色の人生を整理整頓から垣間見ることができる。それをほっこりと楽しんでいるのではないでしょうか。