導電性4倍のタッチパネル向け有機透明材、ITOの代替狙う
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まずHNLが何か分からなかったのですが、同研究室で発見されたガラスの表面構造のようですね。
階層性ナノ多孔層ガラス[Hierarchical Nano- porous Layer glass, HNLガラス]
とのこと。アルカリ剤でガラス表面をエッチングするとこういう「表面には大きな穴、バルク側は小さな穴」というサイズ階層性を有する連通孔がガラス表面近傍にできると。(面白い)
ここにPEDOT(ぴーどっと)を染み込ませれば、PSSを使わなくてもPEDOTが接触した連続膜にできますね。
従来のITOは酸に容易に溶ける性質があるので、配線パターンを薬液で描き出す「エッチング」処理がやりやすいのですが、PEDOTは割と強い高分子材料につきエッチング条件が限られています。それを更に今回のような特殊な膜構造にすると余計配線加工の難易度が上がりそうな気がします。
エッチングしなくてもインクジェットで配線パターンを直接描画すれば何とかなるのかな?タッチパネル産業の観点からの市場の話が無いので、記載しておく。
スマホ登場後、一気に市場が爆発的に伸びたITOフィルム産業。
全画面タッチパネルのため、使用面積は圧倒的に多いことから、かなりの比率がスマホ、タブレット向けになっている。
ITOをPETフィルムやCOPフィルムに成膜し、パターニングし、センサー化することで静電容量方式や抵抗膜方式タッチパネルの画面上での座標検知のための電極を形成されたフィルム。
ITOは光学的に透明なために画面と貼り合わせるタッチパネルの電極材料として活用されることになった。ITOフィルムの世界的なプレイヤーは日東電工。帝人なども手掛けているが、圧倒的にシェアを握っているのは日東電工である。
iPhoneなどスマホ向けでは一時期、インセルタッチ液晶パネルが登場したことでITOフィルムの需要は停滞した。インセルタッチとは液晶パネルの中にタッチセンサーを作り込む手法。
ITOフィルムは曲げるとクラックしてしまうため、これからのカーブドディスプレイや折り曲げ可能なフォルダブルディスプレイでは使えない。また有機ELディスプレイではインセル技術が使えないがオンセル技術は三星によって確立されてきた。そのため、オンセルタッチパネルや折り曲げ可能な銀ナノワイヤタッチパネルが今後のスマホ向けメインストリームとなることが期待されている。この局面でのメインプレイヤーは三星ディスプレイやBOE, LGD, TPK、住友化学、などが期待されている。
導電性、光学透明性、なども重要だが、コストやキャパシティもまた重要。「有機材料」という点に注目。
記事にも記載されているが、有機材料は成膜を真空装置を使わずにできるとされている。こちらがどういうプロセスかは分からないが、塗布だろうか?半導体でも有機材料の成長は期待されていて、印刷・塗布でコストダウンが期待されている。一方でずっと期待はされているが、まだ十分に立ち上がっていないフェーズでもある。