物体をナノスケールに縮小できる新技術、MITが開発
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注目のコメント
やっぱ、英語記事じゃなくて日本語記事の方が、いいんだろうなあpick。
https://newspicks.com/news/3532956
物体をナノスケールに縮小って書かれると、なんか、目の前のスマホがナノサイズに縮小されそうな気がするけど、正確には、ナノサイズの構造を作るときに、大きめのサイズで作っておいて、縮小させるとうやり方で作ったらうまくいきました、という報告。
やり方はこんな感じ
ハイドロゲルを作る
光を当てると、ハイドロゲルの骨格に結合する分子を、くっつける
(ここで、光を当てる部分をコントロールすることで、任意の形をつくることができる)
この分子には、さらに別の機能性材料を結合させる部位があるので、ここに機能性材料をつける
さらに、「拡張材料」を結合させる(ここまでマイクロメートルの大きさ)
最後に、ハイドロゲルを脱水縮合(かな?)させて、ナノメートルにする
「拡張材料」を使うことで、アンコントローラブルな縮小が起きないので、きれいな形がつくれる、ということかと。
僕、大学のときにボトムアップでナノサイズの構造体をつくる研究をやっていましたが、
けっこう、トップダウン型が頑張ってきているなあ、という印象。おもしろい。おーついこないだ報告されたばっかなのに日本語記事出るのがいつになく早いですね。こちらに少しコメントと原著論文を載せています。
Team invents method to shrink objects to the nanoscale, Phys.org, Dec 13, 2018, https://newspicks.com/news/3532956
(上のリンク記事の私のコメントの10分の1は誤りで、正しくは「1000分の1」です)
まさに、映画『アントマン』の科学者のようですね。ちなみにこのアントマンでは、天才科学者ピムが開発した、物質を縮小・拡大させる機能を持つ液体状の化学物質(ピム粒子)を使ってあらゆるものを縮小させる技術を用いています(原理は不明)。
追記
もう少し詳しく追記しようとしましたが、ケミカルproピッカーのお二人が極丁寧にご解説くださっていますので割愛します。
このような非常に大きな体積収縮は、機械要素としてのアクチュエータ(光誘起の動作機能)などへの工学的応用が真っ先に考えられると思います。また、学術的にも水素貯蔵合金(拡散や水素化物の生成など)のような化学反応を利用したケミカルアクチュエータは多様な条件で誘導が可能となるため、今後ますます注目される領域・材料だと思われます。ハイドロゲルの脱水に伴う収縮を利用して、物質を縮小するんですね。
https://www.media.mit.edu/projects/implosion-fabrication-1/overview/
3Dでの“縮小印刷”とは面白い発想です。ドラえもんのスモールライトのようです。
3次元のナノ〜サブミクロンの構造体をリソグラフィで作ろうと思うと加工機器類が高価になるのは想像に難くないので、それほど高精度でなくても良ければこの手法が入り込む余地があるのかも。
扱えるサイズや形状の自由度からして、メタマテリアル用の構造体を量産するような使途が、この技術と相性が良いのではと思います。
可視光域メタマテリアルが安定的に量産できたら、ついにあの「とうめいマント」が世に出てくるかも...
かくれマントはさらにその先の未来で。
<注: 専門用語の補足>
とうめいマント: 覆った部分が見えなくなるひみつ道具
かくれマント: はみ出た部分まで隠すことができる、とうめいマントの上位互換のひみつ道具