”飛べないMRJ”、この1年「前進したのか、後退したのか」
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新型機の開発である以上、計画が年単位で遅延することはよくあることですし、それ自体はMRJの本質的な問題ではないでしょう。
どの客層を狙うのか、という明確なターゲットがなかったことがまず一つあげられます。例えばMRJ世代のライバルとして2016年から商業飛行しているボンバルディアCシリーズ(現・エアバスA220)は、当初から100席クラスと150席クラスのやや大きめの機体として、開発終了時に更新時期になっているであろうボーイング737やエアバスA318、滑走路の短いロンドンシティ空港に就航するアブロRJを強く意識した設計思想を持っていました。結果として、北米ではデルタ航空やエアカナダ、欧州でもルフトハンザや新興LCCにより大量受注を得ることができました。
また、ホンダジェットとも対照的です。ホンダジェットは、まず2003年に実機を作って飛ばしてしまいました。そして、自家用機のエアショーでもあるオシュコシュに乗り込んで見せ、それでも「まだいつ売るかはわからない」と焦らした上で、2006年にようやく開発計画を発表します。その時点で飛ぶように受注を得ることができました。それでも、FAAの型式証明を最終的に得られたのは2015年でした。新参者にとっては、それくらい時間のかかることなのです。
MRJは、本当に2006年当時での予定通り開発を進められていれば、新型エンジンとしては初の商業飛行の機体となり、優位であったことは間違いありませんが、予定通りに事が運ぶなどと考えていたのが甘かったかもしれません。