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1gで5億円超の物質を量産!? がん治療薬も導く「糖鎖工学」とは

ブルーバックス | 講談社
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    マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー

    記事で紹介されているバイオシミラー(biosimilar)は医療界で今ホットな話題の一つなのでご紹介します。

    現在、サンディエゴで開催中の米国血液学会に参加していますが、リツキシマブという悪性リンパ腫に用いる薬剤のバイオシミラーが承認となり、大きな話題を呼んでいます。バイオシミラーだけを扱った教育セッションが出来ているほどです。

    このバイオシミラーは、大きな構造をもつバイオ製剤のジェネリックと考えてください。構造の小さな薬品はジェネリックとして次々と開発、販売されていますが、このバイオシミラーはそうはいきません。元の薬剤の構造が大きく、糖鎖の違いが出てしまうため、どうしてもジェネリックのように全く同じ構造には作れないのです。このため、製造もより難しく、厳密な非劣性試験による効果の証明が薬品の承認に必要とされています。

    ジェネリックを異なる会社が作った同等のブドウソーダに例えると、バイオシミラーは異なる会社が同じブドウから作った同等の赤ワインのようなものです。ブドウソーダなら別会社でも安易に同じだろうと言えそうですが、赤ワインの場合、酵母の違いなどにより違いが出る可能性があるため、その製造も難しく、同じ価格で販売しようとしたら、ちょっと待ったとなりますね。同レベルと格付けされるには、目利きによる品評会が必要とされるでしょう。

    日本では元の薬剤の3割引き、米国では5割引き程度で販売されるため、医療経済に優しく、かつ元の薬剤の原価が高いために、薬価は割引でも十分高くなります。かなりの売り上げが見込めるため、今後バイオシミラーを開発する動きはますます活発化するものと思います。その際、記事で紹介された技術は大いに役立つものと思います。

    バイオシミラーという言葉、これからジェネリックのようにありふれたものになると思いますので、ぜひ覚えておいてください。


  • Chemical Manufacturer Chief Researcher

    大学4年生の1年間だけですが、多糖類を人工合成する研究室にいました。糖鎖研究は懐かしい分野です。まさにこの記事の会社に僕の有機合成のお師匠様がいるはずなので、以下あまり適当なことを書かないように気をつけます(笑)

    糖鎖はゲノム、タンパクに次いで重要な生体高分子です。
    先日から、中国でのCRISPRを用いた人間の遺伝子操作のニュースが話題になっていますね。HIVは細胞に侵入する際にCCR5という受容体と相互作用するので、CCR5を除去すればHIVに感染しなくなるのでは、という話です。HIVは、細胞に侵入するための「手」となる、スパイクという構造体を外膜上に有しており、これは糖を多数含む「糖タンパク質」でできています(gp120)。HIVはこの多糖で出来た手を使って、CD4、CCR5やCXCR4といった受容体を巧みに騙しながら生体に侵入しています。ウイルスの侵入方法を知るには多糖類の理解が不可欠と言えます。

    この例に限らず、多糖類が深く関与する生化学反応は無数にあるため、糖鎖工学は「薬として使えるから」程度の価値に留まらず、生命現象を本質的に理解する上でも大切な学問分野なのです。(将来この分野からノーベル賞が出ると確信しています。)

    ゲノムは、狙った配列を自動合成・増幅して研究に十分な量を用意できるようになりました。ゲノムがコードするアミノ酸配列から得られるタンパク質についても遺伝子工学と合わせて発展してきました。ところが、糖類だけはゲノムのように対応の良い設計図や効率の良い合成法がありませんでした。有機合成の技術をもってしても、同じような反応性をもった水酸基だらけの糖類を、狙った位置で連結させることは極めて困難なのです。
    これだけ高分子技術が発達した現在でも、人工合成した多糖類を商業ベースで供給できるメーカーはほぼないことからもその難易度が分かるかと思います。(さらに言えばあの数々のエンプラを生み出してきたデュポンですら、多糖類の重合だけは諦めた経緯があります)
    ※現在供給されている多糖類は天然からの抽出や微生物反応で得ることが多い

    糖鎖工学研究所が有する、構造明確な多糖類を提供できる技術は、このような経緯に鑑みても大変優れており、同社が、創薬研究と生命現象の理解を加速することを期待しています。

    <オマケ>
    僕はヒアルロン酸を作ってました。これも多糖類です。


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    再生医療・幹細胞生物学研究者

    朝井さんの GlyTech(糖鎖工学研究所)が記事になっている!

    この会社、友人も取締役で2年前から共同研究をしています。細胞増殖や分化の調節作用を示すタンパク質であるサイトカインというタンパク質が、再生医療には必須になってきますが、どの生物種の細胞でそのタンパク(サイトカイン)を産生させて製造したかによって糖鎖修飾は違います。

    例えば、大腸菌 E. coli に作らせたものは糖鎖修飾が一般に付きません。物によってはこの糖鎖修飾で作用に大きな差が出るサイトカインも存在し、この分野は益々存在感を強めていくと思います。


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