【山口周】組織の劣化を引き起こす「エントロピー増大の法則」
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「成長と老化は同じ」というのは、ハッとさせられました。そして、組織における老化とは、不可逆的なエントロピーの増大であると。
組織を自然界や有機体になぞらえていくのだとすると、よりエネルギーが流れていくような新陳代謝の仕組みが重要であり、一流が押し込められない=突然変異を意図的に起こして行く仕組みが必要ということでしょうか。
経営者にとっての美意識と同様、山口さんの論考は色々と考えさせられますね。この組織論、乱暴だけど、「一流と二流と三流の人間感情関係図」に絶望しかないが、、、正しい気もする。
ここは、単なる一流、二流と序列ですが、もしかして得意分野が違うのかもですね。一流は、いわばパイオニア。切り開くことにパワーを発揮するが、自分がどう思われてるか、嫉妬をどうかわすかなど含めて鈍感すぎるので足元をすくわれる。
二流は政治家。切り開くパワーは、一流ほどではないが、組織の力学を読み、人の感情を乗りこなすことに優れる。
三流は、そのどちらの力も、そこまで強くないので、自らが生き抜くために「長いものには巻かれろ」の生存戦略を選択。組織を見ると言うのは、物理学(統計物理学)のアナロジーで言えば「粗視化」に対応しますね。個人にフィーチャーすると、個性豊かで善し悪しの判断も人それぞれ。個人の行動は利害関係という因果に基づいているので、ニュートンの運動方程式に従う一粒子の運動のように可逆過程。ところが、組織のダイナミクスとなると集団平均化される(粗視化)ので、個々人の個性という高次元のパラメターが消えて、低次元パラメター(嫉妬や羨望という原始的な感情)が浮かび上がってくる。個々人で見れば可逆過程だが、組織全体では粗視化されて不可逆過程になる。したがって、エントロピーが増大則(熱力学の第二法則)が当てはまるというわけですね。
ちなみに、組織のダイナミクスを決める分布関数が厳密に決まっていれば、組織全体としては可逆過程になります。これは、エントロピーが時間的に変化しないことに対応しています。すると例えば、組織全体としてはエントロピーは変化しないが、局所的にエントロピーを減少させること(≒一流を生かすこと)が可能。統計物理学のアナロジーを続けるならば、このあたりに組織の劣化を防ぐキーがありそうですね。