サウジ記者を殺害前に苦しめた、皇太子の暗黒ツイッター部隊
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メディアの価値は、つきつめれば、いついかなる時でも事実を伝えられるかどうか、ということに尽きます。いついかなる時、というのは、金や権力がなくても、ということも含みます。金を持っている者や政府が、自分の広めたい情報を広める手段はいくらでもあります。金も権力もないけど事実を知っているという人(被害者を含む)がいた時に、それを伝えられるか、ということでメディアの真価が問われます。新聞や雑誌は、決して多数ではありませんが、歴史上、金にも権力にもならないけど事実を伝えた、という実績はあります(たとえば米国でマッカーシズムが蔓延していた時など)。SNSは、メディアとしてそういう価値を大いに期待されていたのですが、そういう期待はかなり短期間でしぼんでしまいました。SNSは、明らかに金や権力があればどうとでも操作できるようになりつつあり、困ったことにはそれを覆す十分な方法が見つかっていません。新聞などなら、国によっては突然自滅覚悟で事実を伝えようとすることも無いわけではありませんでしたが。
SNSで世論をつくる「トロール工場」は官製のものとしてはおそらくロシアと中国にあるものが最も大きいと思われます。次いでイラン、サウディアラビア、北朝鮮にもあるでしょう。元々、中国共産党隷下の「五毛党」と呼ばれた書き込み集団がはしりだったのではないかと思われます。アルバニアに見られるように、諸外国から発注を受ける民間の産業にもなっています。今ではコンサルタント会社的なところが、途上国の政府や政党などに、安価かつ容易なSNS操作の手法を提供しています。これなども、AI研究の発達の一つの側面でしょう。
サウディアラビアでSNS操作を担当しているムハンマド王太子の顧問、サウード・アル=カフターニーというのは、トランプにとってのスティーヴ・バノン、ヒトラーにとってのゲッベルスに相当する人物です。日々メディア関係者を呼びつけては恫喝しているような人物ですが、単にメディア担当ではなく、王太子の政策にまで深く影響しています。カフターニーにとっては、カショギー氏の殺害は、自分の領分のことで、「あの犬の首を持ってこい」と殺害チームにスカイプで指示を出していたとされます。統制できないサウディ人ジャーナリストの存在が許せなかったのでしょう。