中国、景気対策を強化=成長減速受け企業支援
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習近平総書記率いる中国共産党は財政の健全化を主張し、これとは反対に、国の機関である国務院は経済発展重視で、積極的なインフラ投資や企業に対する支援を主張しています。
劉鶴氏の副首相という立場は国務院のものですが、同氏は習近平主席の側近で経済ブレーンです。習近平主席は、党のトップとして、李克強国務院総理(首相)を抑え込み、財政健全化を進めてきました。
劉鶴副首相は、国務院の中にいながら、李克強首相と反対の経済政策を主導してきたのです。2016年5月に、経済成長を優先する李克強首相の経済政策を否定する人民日報の匿名記事を書かせたのも劉鶴副首相だと言われています。
その劉鶴副首相が、これまでの主張に反する景気対策の強化を打ち出したのです。もちろん、米国との貿易戦争によって中国経済はダメージを受けていますから、景気対策を打ち出すのは妥当だとも言えます。
しかし、2018年8月に行われた北戴河会議の前から、劉鶴氏は、対米政策と経済政策の失敗を理由に批判されてきました。そのことも、劉鶴氏の景気対策強化の経済政策決定に影響しているかもしれません。
北戴河会議の後、経済政策を含め、中国指導者の間で政策の調和が見られ始めたとも言われます。米国の圧力を避けて経済発展を継続しなければならないという根本的な目的が、中国の権力者たちの間で共有されているからです。
ただ、対米政策等で批判されてきた習近平政権の中で、批判を避け表舞台に現れなかった王岐山氏が再び表に出てきました。今後、対米政策も王岐山氏が影響を及ぼすでしょう。習近平氏も再び権威を高める努力をすると考えられます。
調和が取れてきたと言われる中国指導部の対米政策は、自信過剰を戒め米国に対して挑発的にならないというものだと言われますが、今後、この政策にどのような変化が現れるのか、引き続き注目していく必要があります。どこの国でも住宅投資と自動車販売は景気を大きく左右する。
中国では、3Qの自動車販売に異変が発生している。
従来と似た景気対策で難局を切り抜けられるか、要注目だろう。