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【解説】サウジ記者は皇太子に殺されたのか。深まる謎を読み解く

NewsPicks編集部
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  • 公益財団法人中東調査会 主席研究員

    皇太子なり国王なりがしじした/しなかった、知っていた/知らなかったという矮小な問題ではありません。政治的にはそれで手打ちになっても、サウジという政体とその為政者は対立者や批判者の言論を封殺するだけでなく、物理的に「消す」ものであることが白日の下にさらされたのが重要なのです。在外公館が犯行の場になった場合、それが「国家ぐるみ」でないと強弁するのは難しいでしょう。つまり、サウジを付き合う場合、法や慣習を軽んじ、気分次第で他人の財産も生命もどうにでもなると思っている為政者や政体をお付き合いしなくてはならないのです。


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    静岡県立大学国際関係学部 准教授

    各国の駆け引きがどのような波及効果をもたらすか、が問題の一面です。最も深刻な変化はサウディアラビア国内において起こる可能性があります。ムハンマド王太子に殺害の責任がある、ということはまず疑いようがないですが、サウディアラビアで王政を批判した人間が殺されるのは昔からめずらしいことではありません。ただ、今回は被害者が有名人だったのと、やり方があまりにも稚拙だっために、問題が広がりました。
     カショギ氏(ハーショクキー、「スプーン職人」という意味のトルコ風の名前)は、1980年代からウサーマ・ビン・ラーディンに繰り返しインタビューをしたことで名をあげました。大物ジャーナリストの多くがそうであるように、多方面に人脈を持ち、サウディアラビアの高官、ムスリム同胞団指導者たちともいつでも話ができる関係を持ち、さらにそういった関係を元手に米国でも人脈を広げました。
     ムハンマド王太子の事件後の振る舞いで非常にまずいのは、「米国がこの事件のために制裁を仕掛けてくるなら、対抗措置をとる」と気勢を上げて、取り巻きたちと考えた対抗措置を国営メディアでリークしたことです。いわく、「米軍の代わりにロシア軍の基地を誘致する」「米国からの兵器購入をやめてロシア製兵器に切り替える」「世界の石油決済を米ドルではなく中国元などで行われるようにする」等々、まさに若気の至りですが、口にするだけでも若気の至りで看過してもらえる内容ではありません。年長の王族たちが王太子を下ろしにかかるでしょう。
     サウディアラビアとトルコ、米国の駆け引きで、事件についての公式見解が摺り合わされようとしてきました。しかし、ムハンマド王太子の跳ね上がりで「カショギ氏が特異体質なため突然心臓発作を起こして死去」(途上国では拷問や暗殺を否定する時に非常によく使われる言い訳)というサウディアラビアに受け入れられる手打ちの線では合意できなくなりつつあります。決裂すれば、ムハンマド王太子らの数多の悪行が国際的に喧伝され、サウディアラビア国内で大きな波及効果が起きるでしょう。トルコのエルドアン大統領は今週になって「イスラーム世界を率いることができるのはトルコだけだ」といった発言をしています。この人物の以前からの野心が、手打ちをして利益を得るよりも、この機会にサウディアラビアを叩きのめそう、という方向に駆り立てているのでしょう。


  • フォトグラファー / メディアリサーチャー

    トルコもサウジも、その対応を見ているとやはりアラブらしいなと思わざるを得ません。
    アラブ、特に湾岸アラブ人は人前で批判されることを最も嫌います。そういう意味では、カショギ氏の批判記事に対して皇太子が激高したであろうことは想像に難くありません。

    周辺諸国も今回の黒幕については察しがついている、けれど名指しでそれを口にすると面子を潰すことになる。サウジ側がある程度大人の対応をしてくれることに期待して、余計なことは余り言わずに待っているのでしょう。

    トルコが今回の一件において、あらゆる意味で重要な役割を担っています。あれだけ対抗姿勢を取ってきたサウジに対して、ここで一気に押しつぶせる好機とも思える状況で、名指しを避けて非常に慎重に、しかしリークを放出するなど大胆に立ちまわり、今年前半までの不利な状況をある程度ひっくり返すところまできています。しかし、皇太子が今倒れるとなると後継者不在などで空白期間が出来たり、そこを突いて何かしら反発行動が起こる可能性は否定できません。

    後継者については今更第1世代が返り咲くことはありませんし、第2世代で国民から広く支持を受けそうな人も見当たりません。第3世代は皇太子自身が証明してしまったように、甘やかされて育ったために、2000万人の国民を率いるには役不足です。

    しばらく皇太子は表舞台からは姿を消し、国王が全面で指揮を執る形になるでしょう。

    アメリカにとってのサウジは兵器購入のお得意さんであり、地域特にイランに対する防壁としての存在価値しかありません。皇太子が多少の暴走をしてもサウジという国自体が健在なら問題なし。今回の一件はどちらの味方もしたくはなく、なあなあで終わって欲しいと思っているはずですが、ジャーナリズムの存在意義を揺るがす事件として、国内の大手メディアが騒ぎ続ける以上は無視することもできません。


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