ホタル、遺伝子コピーミスで発光 ゲノム解読し判明
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注目のコメント
発光機能はコピーミスからできたとのこと。遺伝子のコピーミスで癌細胞になることもあれば新しい進化のきっかけともなり得る、生命はセレンディピティを求めているようにしか見えない。
基礎生物学研究所のプレスリリースはこちら。
http://www.nibb.ac.jp/press/2018/10/16.html
コピーミスを繰り返したというよりは、「ある脂肪酸代謝酵素の遺伝子が丸ごとゲノム内に複数コピーされ、そのうちの一つが変化(コピーミス)して発光酵素になった」ですね。
遺伝子の丸ごとコピーは、本来の機能を残しつつ新しい機能を獲得できる可能性をつくるものなので、割と大きな進化に関わるとも考えられています。この記事では本研究で重要なポイントである「遺伝子重複 gene duplication」があえて「遺伝子コピーミス」という雑な表現に変えられている。コピーミスは正確な生物学用語ではなく、どちらかといえば一般的に進化を説明する文脈で遺伝子の変異源を説明するときに使われる言葉だ。遺伝子の突然変異や遺伝子重複を含め、進化の原動力となる新しい遺伝子の多くは「遺伝子のコピーミス」から供給される。
「ホタル、遺伝子コピーミスで発光」というタイトルは「蛍は進化して光るようになった」としか言っていないに等しい。進化という現象が遺伝子のコピーミスから始まる(そして遺伝子が淘汰・選択される)という考え方を知らなかった人には新しいかもしれないが、この研究はその概念を刷新しているわけではない。
それとももしかして単に遺伝子重複のことを遺伝子コピーミスと言い換えているのだろうか。それならコピーミスでなく、遺伝子コピーというべきだろう。元の用語的にも「ミス」という言葉に含まれるネガティブさをあえてつける意味はない。
実際に、島田さんがリンクされている基礎生物学研究所の本研究のプレリリースでは該当箇所には全て遺伝子重複と書かれている。
http://www.nibb.ac.jp/press/2018/10/16.html
どこにも遺伝子のコピーミスという言葉はない。コメント欄を見てもミスという言い方に引っ張られた意見が散見される。記者が用語を適当に書いているのだから、生物学を学んだ方はそこにツッコミを入れてほしいところだ。
以下の知見が今回のポイントだろうか
1.ホタル類に見られる脂肪酸代謝酵素(アシルCoA合成酵素)がルシフェラーゼの元の遺伝子であっただろうことが知られていた。
2.アシルCoA合成酵素は遺伝子重複を起こしやすい遺伝子であった(多量の重複が観察されている)。
3.重複した遺伝子のおかげで、一部の遺伝子に突然変異が発生しても、脂肪酸代謝機能に淘汰がかからなかった(遺伝子重複による進化機序として定説)。いくつかの突然変異の蓄積の結果、新しく発光活性を持つルシフェラーゼとなった。
4.アシルCoA合成酵素からルシフェラーゼの進化が、今回の研究資料内だけでも独立して3回起こっている。つまりこの研究は遺伝子重複による進化機序の一般性が高い証拠となる。