防衛省、極超音速ミサイル開発へ 敵基地攻撃能力懸念も
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これは土屋先生がコメントされているJAXAの研究によるものとは違い、三菱重工業が特許を持つ水素燃料を冷却材に使わず、ジェット燃料からメタンガスを生成する過程で冷却と燃料改質を同時に行う新型のジェット燃料再生スクラムエンジンの開発予算だと思われます。http://www.mod.go.jp/j/yosan/2019/gaisan.pdf
(もちろん広い意味では関連する研究と言えると思いますが、今回に予算処置についていえば、ということです)
スクラムジェットを使った極超音速ミサイルには、極超音速滑空翼体ミサイルと極超音速巡航ミサイルがあり、前者については防衛省は既に研究段階に入っていますので、今回の予算要求で2タイプを並行して研究することになったということです。
2タイプの研究を進めるのは、防衛省のコメントにある通り、極超音速滑空翼体ミサイルは対地攻撃、極超音速巡航ミサイルは対艦攻撃をメインに考えているからでしょう。
この背景にはロシア、中国が、アメリカの軍事優勢を覆すための次世代の戦略兵器としてこの分野に非常に力を入れているということがあります。
この分野で一番進んでいるのはロシアで、既にロシアは最高速度マッハ20、射程1万キロの極超音速滑空翼体ミサイル、アヴァンガールトの実戦配備を決め、続いて最高速度マッハ8 射程1000キロと言われる極超音速巡航対艦ミサイルツィルコンの配備を宣言しました。
中国も先日マッハ6の極超音速飛翔体星空2の実験に成功し、2020年代後半には兵器として実戦配備される可能性が高いとされています。
これらの新兵器を迎撃するのは技術的に非常に困難で、実戦配備されれば日本のミサイル防衛網はほぼ無効化されてしまいます。
となると、抑止力維持のためには、こちらも同じく迎撃不可能な兵器を持つほかなく、ようやく研究開発に乗り出した訳ですね。
極超音速兵器については、凄まじい高温に耐える合金や冶金技術、更に一体どうやってこんなものを誘導するのか技術的に確立されていないことが多く(それ故にロシアや中国の発表も単なるハッタリとする意見もあります)今から開発に入ったとしても、いずれにせよ実用化までにはかなりの時間がかかるでしょう。これは,防衛装備庁「安全保障技術研究推進制度」の29年度採択にあった
「極超音速飛行に向けた、流体・燃焼の基礎的研究」(研究代表機関,JAXA)
http://www.mod.go.jp/atla/funding/kadai/h29kadai291222.pdf
の応用かな?安全保障技術研究推進制度は,いわゆる軍事研究なので反対との声が挙がった制度.
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/anzenhosyo/pdf23/170324-seimeikakutei.pdf
私も極超音速飛行体の研究をしています.この研究にはお声がかかりましたが,お断りさせていただきました.結局,予想通りこういう方向になるのね.開発の目的は、防衛省の説明通り、島嶼防衛などと考えてよい。勘ぐる必要はない。
敵基地攻撃能力を持つ場合、核武装をしていない国の場合、同時に備えなければならないのは、敵の反撃を撃破する能力プラス上陸侵攻能力だ。
その構築には、現在の防衛体制をひっくり返すほどの国家的決断と負担(コスト、リスク)に耐える必要がある。
その覚悟のないところで、机上の議論をするのは、時間とエネルギーの浪費だ。