会計処理で悩むくらいならキャッシュフローを見た方が手っ取り早い
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中小零細企業の申告作業をお手伝いしているわけですが、
経営者からこういう質問を受けることがありました。
「センセー、『利益が増えている』っておっしゃるけど、そんな感覚全然ないですよ。
むしろ、お金が足りなくて汲々してます。しかも、こんな額の税金て。
ホンマにこんな利益でているんですか?」
この原因は、ココの会社が成長過程にあって、仕事が増えている結果、
先行する仕入経費の支払で資金繰りが悪化していたことだったのですが、
これって、とっても示唆的な話だなーって感じたわけです。
利益と資金繰りが全然連動しないことってままあるわけです。
見積もり会計もりだくさんのIFRSなんて当然採用していない、
伝統的で保守的な税務基準の決算書であってもです。
上場企業が採用している企業会計だと、
損益とキャッシュ・フローの乖離はもっと顕著です。
特に近年の会計は「会計上の見積もり」と言われる、
将来予測など、会社の「見積もり」に基づく会計処理が増えたため、
この「見積もり」に知恵を絞れば、損益は合法的に操作可能です。
ですが、キャッシュ・フローは事実ベースでの処理をするため、
会社の恣意性の入る余地がきわめて少ない。
そして、配当できるかどうかや、会社が倒産するかどうかで一番大事な指標は、
利益なんかより、キャッシュがちゃんと回っているかどうかなのですよね。
そういう意味では、キャッシュ・フロー計算書を見ないってのは、
速度計だけみて、高度計を見ずに飛行機を操縦するようなものです。
キャッシュ・フロー計算書は、見た目と作り方がちょっと特殊なので、
とっかかりが悪いかもしれませんが、慣れれば大した話ではありません。
別に作り方は知らなくても、見方はきっちりと理解した方が良いと思います。うーん。個人的にはもやっと。
CFの重要性に異論はありませんが、先行投資型のビジネスモデルにおいて、3年のCFマイナスで「投資を回収できてない(つまりダメ)」と結論づけるのは正しいのでしょうか。
「仕入れて売る」という大塚家具のようなビジネスとはCFの見方も異なると思うんですよね。
ネットフリックスは、がんがん投資(コンテンツ制作)をして、ファンを増やすことにここ数年力を入れてきました。
さらに投資を続けながら、回収を始めるフェーズに入ったと見ています。
この投資額が年間1兆円と異常に大きいため、私のような小者にはその投資額の妥当性の判断は難しいところではありますが、将来回収が可能と判断した上で利益計画と投資計画を策定し実行されているわけで、ビジネスを批判するのであれば、その長期計画の策定根拠について分析することが必要なのではないかと思います。
この記事に出てくるバロンズの会計処理の記事は先日NPでも取り上げられていました。
https://newspicks.com/news/3274539/これはあくまで自論ですが、ここでPLに意味は無いという結論になる人は素人ですね。
PLという経営者が自己の意見を持つからこそ、その意見を説明したり、あるいはその方針を変える時に、どういう意図・スタンスがあるのか理解できます。PLは経営者と投資家の立派なコミュニケーション手段です。