給与・賃金のデジタルマネー払いの課題と展望
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注目のコメント
そもそも日本の各種制度は「銀行口座を持てない(unbanked)人々」の存在を想定しておらず、銀行預金に現金に準じる特別な地位を与えても、特に問題は生じなかったところ、外国人労働者の増加によってその制度の矛盾が明らかになったという点がとても興味深いです。ペイロールカードが「銀行預金よりも信用できないから」という理由で利用できないのは時代錯誤だ、と元の記事は批判しています。それを引用したブログ記事は、中央銀行デジタル通貨が解決策だとしています。
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この問題はなかなか奥深い議論なのですが、そもそも労働者の権利を保護するために、支払いの確実性について保守的な立場をとっている現在の労働法制自体は、軽々に変更はできないでしょう。長年の実績を持ち、監督当局が担い手をチェックし、確実な支払いを確保するために制度を整備してきた「預金」が、現金に準じた特別なものであることは現状では明らかな事実であり、実際、ATMから預金を引き出せば、いつでも不安なく現金に変えることができます。だから現金に準じるものとして特別扱いしているのです。この壁を崩してしまったら、支払い確実かどうかを判断する基準がなくなってしまうので、事業者も困りますし、その結果として確実でない支払い手段で賃金が支払われると、労働者も困るはずです。
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例えば、鉄道系、流通系などの広く利用される電子マネーは、利用者からみれば現金とあまり変わらずに利用されていますが、利用できる店舗が限定され、一般的には現金への換金が行われないことから、現金に準じるものと位置付ける訳にはいかないでしょう。そもそも、セキュリティ上の理由から、発行制限があるので、給与支払いという意味では実用的ではありません。
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仮想通貨については、価値が保証されておらず、価格が変動してしまうものであり、換金する方法も限定されていますから、現金に準じるとはとても言えないので、給与支払いに充てるというのは論外です。
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この議論に中央銀行デジタル通貨を持ち出すのは、飛躍しすぎです。どのような性格を持つデジタル通貨をどう流通させるかの議論が必要ですから、今回の問題の解決策にはなりません。
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現実的な議論としては、もしペイロールカードを利用するのであれば、給与支払いに充てる資金の安全性が確保されるよう、特別な監督や保険等の仕組みを組み込むことが必要でしょう。「賃金は、通貨で」というのは、強制労働や人身取引を否定する発想からの名残だが、「仮想通貨」が「(法定)通貨」でないと定義づけられるとは想定していないところに、経済取引の技術進歩とのずれが生じているようだ