がんゲノム医療で薬の早期承認へ 厚労省、開発促進
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記事にもありますが、がんを発症した際にどのような遺伝子の異常があるかを調べることは可能で、それぞれの遺伝子の異常の有無でがんの顔だちの良し悪しや、抗がん剤の効きやすさなどがこれまでの統計からわかるようになりました。それぞれの遺伝子を標的にした治療薬もごく一部開発されており、大きな成功を収めている薬剤もあります。一方で思うような効果を発揮しなかったり大きな副作用が出てしまったなどの理由から販売に至らなかった薬剤があることも事実です。早期承認は、薬剤開発が現場に結びつきやすく早く新しい治療をお届けできるメリットがありますが、安全性の検証が十分でないリスクがあることも理解しておく必要があります。
いずれにしても遺伝子を標的とした薬剤の開発は期待が持たれる領域の1つです。現在は、乳がん、胃がんといったようにがんの発症する場所で分類して治療を決めていますが、将来その場所が無関係となり(もはや乳がん、胃がんなどと呼ぶ意義もほとんどなくなり)、遺伝子情報をもとに治療を決定する時代がくるかもしれません。がんゲノムを解析することで、それぞれの患者さんに合わせた治療が可能になりますが、「現状では、使える薬が少なく有効な治療に結びつくケースは1割程度にとどまる」という問題がありました。
この研究ー治療のギャップを埋めるため、厚生労働省が保険適応を前倒しすることを決めました。
この対応を後押ししたのは、下記のような背景が挙げられます。
・ゲノム解析が正確になったこと
・遺伝子異常に基づく抗がん薬が多く開発されたこと
・従来の抗がん薬と比較して、効果が高く副作用も少ないという知見が集積されてきたこと
技術開発の速度に合わせて行政も柔軟に制度を変更する必要がある、そんな一例ですね。
今後も必要な医療が患者のもとにいち早く届く対応を厚生労働省には期待したいところです。