トルコ、中銀総裁の5年任期を撤廃 独立性懸念でリラ急落
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トルコのエイドリアン大統領は、トルコ中銀総裁の任期を廃止するとの決定をしました。これにより、中銀総裁は「いつ首になるかわからない」状況になりますので、中銀の独立性が危ぶまれるとの懸念などから、トルコリラが下落しています。
大統領の側近が、ツイッターで、5年区切りで中銀総裁が新たに指名される可能性もある、いずれにせよ、中銀総裁は大統領が決める、といった趣旨のツイートをしたようです。エイドリアン大統領は高金利に反対していますので、今後の政策の舵取りがどうなるのか、注目です。新発足した内閣においてエルドアン大統領は、長年財務相・経済担当相を務めたメフメト・シムシェキ氏に代えて娘婿のベラト・アルバイラク前エネルギー相を任命しました。アルバイラク氏は40歳、初当選は2015年で政治家としての経験は短いといわざるをえません。
トルコの経済成長率は高く(前年は7.4%)、過熱気味といえます。政策金利の利上げを求める声があがっています。しかし、エルドアン大統領はオーソドックスな経済学を信用していないところがあり、成長率は高ければ高いほどよく、抑制するべきではないという発想があるようです。当面懸念されているのは通貨リラの下落ですが、前年は11%だったインフレ率も今後上昇していくことが警戒されています。悪性インフレによって国民の不満が増大して、それが元で独裁政権が倒れたケースは珍しくない。そうした歴史から何を学ぶだろうか。
ちなみに、中国共産党は、国民党政権が悪性インフレを引き起こして国民の支持を失ったことを、institutional memoryとして焼き付けているとか。