【1分解説】届かぬゾゾスーツ。「空白の半年間」の真相
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昨日、スタートトゥデイ(10月からZOZOに社名変更)の記者会見に出席してきました。いつもはラフな格好で現れる前澤社長がスーツを着てきたので違和感たっぷりでしたが、まさにそのスーツのPB発表でした。
NewsPicksでは、昨年末にZOZOのPBに関する特集を組みました。ただ、それ以降なかなかZOZOSUITが届かなかったり、届いても計測が複雑だったりして、PBの先行きを不安視する声があがり、特集を担当した人間として、動きをずっとウォッチしていました。
この半年間、何があったのか。そしてこれからZOZOは何を目指しているのかを簡単にスライドにまとめました。
家電や自動車など、日本の基幹産業が続々と苦しくなる中、ユニクロや無印などアパレル・生活雑貨関連の企業が世界で認知度をあげています。もしかするとここに一つの勝機が眠っているかもしれません。日本のアパレル業界は世界でさらに飛躍できるのか。今後も注目していきたいです。人はなぜモノを買うかについて、機能と情緒の軸で考えることがあります。
●商品やサービス自体が持つ機能性・情緒性
●買う理由としての機能性・情緒性
を掛け算して、2×2でいろいろな商品サービスを見てみると、新しい発見がある場合があります。
例えばごく一般的なファッションは、服が持つ特性は機能というよりは情緒、買うときの気持ちもかっこいいとかかわいいという情緒なので、情緒×情緒です。
これが例えばル・クルーゼのお鍋だとすると、商品が持つ機能性はすごく高いのだけど、買っているのは機能的な鍋ではなくて「ル・クルーゼのお鍋のあるステキな生活をしているわたし」だったりするので、機能×情緒に見えます。
このように、機能に振っているように見えて実は情緒で買っている商品やサービスが意外とあると思っています。
さて、ゾゾスーツのPBですが、今のところは機能×機能に見えます。今はモデルさんの写真を見せてパッと買ってもらう情緒×情緒というファッションの王道を行っているように見える中では結構なジャンプに見えて、テクノロジーという文脈以外でもこのチャレンジの新しさが見えてきます。最近はメルカリの上場、ユーザベースのQuartz買収と、日本発ベンチャーの海外本格展開へのチャレンジが盛り上がってきていますが、StartTodayも本格的な海外展開を表明しましたね。楽天が先陣をきって本格的な海外展開を宣言してグローバル化をしていったのが2010年頃ですから、インターネットサービスカンパニーによる海外チャレンジの「2.0」的な流れを感じます。
あと、「マスカスタマイゼーション」という言葉を聞いて、ああ、本当にインターネットは完全にリアルに染み出してきたな、という実感を覚えます。ひと時代前なら「マス」と「カスタマイゼーション」は相反する概念で、インターネットがそれを覆していったわけですが、いまやそれがリアルの世界でも成立するようになった。
人とは違うことをやること=競争をしない、楽しいことしかやらない、などという前澤社長の考え方は、(ちょっと前のバスキアみたいなこともあって)「異端の経営者」のように言われているように思いますが、本質的なところで、すごくまっとうというかド真ん中をついていて、ぼくは好きですね。