日銀、19年度物価見通し下方修正へ 緩和は長期化
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注目のコメント
どう予想するかは別にして、「次の一手」が微修正(方向としては引き締め)、は金融市場参加者の常識であり、あらゆるサーベイ(例.BBGなど)でそういう結果が出ています。また、為政者としても金融システムへのダメージを看過できる状況ではないという認識は明らかになります。口に出すと直情的に怒りだす向きがあるのでMPCで連呼することはありませんが、要人発言からもそれは読めます。
一部、副作用が出ていないから気にしなくても・・・という意見もあるようですが、それは地銀を中心として副作用を「飲んでいる」から見えないだけですので、「出ていない」という評価はあまり適切ではないと思います。事実として何が起きているかは、各種報道を見れば分かるでしょう。端的には16年以降の決算を見ましょう。もしくは日銀のFSRを読みましょう。その懸念は明らかです。
なお、ECBがあの状況で正常化を模索するのも同様の心情からという指摘が多いです。▲0.4%というチャージでシステムの安定に毀損が懸念される状況です。エコノミストの方がコメントくださるはずですので精緻な議論はおまかせしたいと思いますが、所感としては月曜に出すべき大事な記事をわざわざ日曜トップにしたか、という印象です。
内容の点では足元の実態を反映するだけで特にサプライズはないと思います。需給ギャップがプラスに転じている状況ですので、物価上昇まであと一歩のところにあるという認識を前提に、現在の金融緩和スキームを維持したまま時間軸を長期化することになりそうですね。しかし国債をどこまで買うのか、ETFの物価に対する投資効果は本当にあるのか、景気自体が下方に向かった場合どのような追加対応を検討しているのかなど、現在の政策の有効性と持続可能性について丁寧な説明があることを期待したいと思います。日銀が見方を変えたのではなく、正直になっただけだと思います。
日銀は今年4月に、物価目標の達成時期(2年を念頭に)を削除しました。これは、誰一人信じていない目標を取り下げて、現実路線に軌道修正するという意味合いがありました。これまでの物価見通しも、2年目標との整合性にかなり引きずられてきたので(2年で物価目標を達成するのに、見通しが2%に近づかないとおかしい)、ようやく正直な見通しを出せるようになったということだと思います。なので、金融政策の枠組みも一切変わらないと思います。