アメリカと中国の板挟み、アップルは貿易摩擦をどう切り抜けるか
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アメリカと中国の貿易摩擦は加熱する一方ですが、その渦中に巻き込まれている企業の一つとしてアップルを取り上げたNYTの記事。米中貿易戦争へとエスカレートすれば、iPhoneなどのサプライチェーンに大打撃が及びかねないと、アップルは恐れています。
世界最大の市場でありながら、アメリカ企業をネットやデータ規制などで締め出してきた中国。アップルに限らず、シリコンバレー企業は中国市場とどう向き合うか、腐心してきました。
印象的なのが、ティム・クックCEOのこの発言。
「土俵に上がらなくちゃ。外から叫んでも何も変わらない」Apple製品の殆どは設計はカリフォルニア、組立製造は中国だ。組立製造を請け負うのは台湾企業である鴻海だが、その最大の工場は深センにある。この深センの工場には最盛期で40万人とも言われる工員が働きせっせとiPhoneを組み立てて全世界に向けて出荷している。
様々な部品は台湾、韓国、日本、中国などアジア圏及び北米で製造されたものが、このEMSに流れ込んで凄まじい勢いで製造される。このEMSでの怒涛のオペレーションや厳しいサプライチェーンマネジメントがそもそもTim Cookの最も得意としてきた分野であり、この記事で描かれている政策調整はCEOになってから求められてこなしている職務と言ったところだろう。余談だが、この辺りの政治家たちとのスムーズなやり取りはきっとジョブズには無理だっただろうと思う。
米中関係はまだまだ波乱含みなのだろうが、経済を実際に回してアメリカに雇用を生み出してはいるAppleからしてみれば、たとえ法人税をしっかり払っていなかったとしても勘弁してくれと思うことだろう。モノは全て中国からの輸出になってるわけだからそこを止められたら販売どころではない。
ただでさえ、中国スマホメーカーに中国国内での販売台数ベースでは圧倒されているわけだし。(端末価格が倍半分ほども違うので致し方がない面もあるが。iPhoneは中国では完全なる富裕層の嗜好品と言える)アップルの中国におけるここまでの業績拡大は本当に経営者として尊敬します。
実体験として、その難しさは本当によくわかります。
この件はトランプ大統領が考えるほど、今の貿易は簡単ではなく、貿易戦争を仕掛けることがアメリカを利するとも言えないということを端的に表しております。
厳密にはトランプ大統領というより大半のアメリカ国民というべきかもしれませんが。。。