米朝の「雪解け」を支えた、シンガポールのインテリジェンス力
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大国に大国なりの外交があるように、小国には小国なりの生存のための外交があります。大国の外交は、米国のように軍事力を背景にしていたり、中国のように巨大な市場という餌や資金力を武器にしたりもします。日本だと外交といえば大国としての外交が意識されることが多いように思いますが、米国や中国のようなのは無理で、適正な規模はフランスや英国のやっているくらいの外交でしょう。
小国なりの外交というと北朝鮮もそうで、無法者であることをアピールして利益を引き出そうとしたりしまう。あれも一つのよくあるスタイルで中東やアフリカでよく見られますが、第一に国内の支持を固めることを目的としたもので、国民に多大な犠牲を強いることになり、失敗した例が多いです。
シンガポールの外交(広義のインテリジェンスや経済、文化、学術の交流を含む)は小国の外交のもう一つのスタイルで、そのお手本のようなものです。シャングリラ・ダイアローグのように、毎年米国、中国、日本を含む多数の国の防衛・情報関係の閣僚や幹部が集まる会合というのはEUの会合などを除けば例がなく、実際日本などもそのような定期的な国際会議を開催できてはいません(アフリカ諸国や太平洋の島国との会議は定期的にもっていますが)。シンガポールが、米国からも中国からも信をおかれているということです。シンガポールは金融や学術のハブとして自国の位置を活用しながら、米中を含むアジア太平洋の諸国に人脈を張り巡らしています。インテリジェンスもまたそのために活用しています。イスラエルやブルネイのような国と特別に緊密な関係を築いて安全保障も確保しています。小国の外交のお手本のような国ですが、これほどのことができている国は他になく、小国なりの巧みな外交という点でで似たところがあるのは、イスラエル、台湾、スウェーデンといった国々でしょうか。米朝首脳会談でシンガポールが世界から注目されましたが、その実現の背景にはシンガポールのインテリジェンスパワーとネットワークが地道に築かれていたことが重要だと私はみています。小さな都市国家が、その物理的な規模以上に、存在感を示せるのは、情報力とインテリジェンス力の存在。
実は、一番伝えたい情報は、シンガポールにはチョソン・エクスチェンジ(Choson Exchange)という民間団体や、クアラルンプールの北朝鮮観光局の地域統括拠点の話しだったりもします。記事の後半に登場します。
日本から北朝鮮をみる目線と東南アジアや世界から見る目線は随分違います。米朝会談の後の報道では、日本目線に終始し(もちろんそれはそれで重要)、世界からどうみえているのか、という視点が少なかったように感じます。
他にもインドネシアでの拉致家族再会など、北朝鮮を外交上の重要課題の一つと位置付ける日本にとっては、東南アジアの動向は、より身近な東アジアにも関係してきます。米朝会談期間は、両者のホテルと会場付近以外は、空港含めて日常となんら変わらず日常を過ごせました。その会談誘致から、当日の統制まで卒なくこなした秘訣が詳しく分析されている流石のNP川端さんコラム。