【松嶋啓介 × 後藤映則】創造力を養うためには、物事の「ルーツ」を深掘りせよ
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注目のコメント
分野をまたぐアーティスト同志での対談だが、こういう異分野の交差点をうまくまたぐことができる人それ自体がクリエイティブなんだと思います。
ルーツの話もまさにそうですが、クリエイティブ=創造力を発揮するうえで個人的に重要だと思うのは、「よりかかる」こと。一見矛盾しそうに聞こえますが、空間・時間的にまったくとっかかりのない状況はアイデアが生まれにくい。
なんだかんだで、その土地や人や空間の文脈にいちど身をゆだねて「よりかかる」ことからクリエイティブが生まれると思っています。そういう意味で、文脈が濃厚な会食のような場で、松嶋さんが「イノベーションを触発するような食空間づくり」をやりたいというのもとてもうなずけます。
前回の対談で出てきた「時間の彫刻」という概念も個人的にはとても好きです。建築をやっていた頃、最初の設計の課題が「10mキューブで時間を表現せよ」というものでしたが、時間を相対化できるということは、歴史というストーリーをつくり未来のビジョンを示す(『サピエンス全史』的に言うと虚構を語る)ことのできる人間の特権。ルーツの深堀は本当に大事ですね。本来の意味がわかったり、そのモノ・コトにおいて自然な状態が何なのか見えてくる。それが今風に変わっていった過程を見ていくと、じゃあ次はどういう変化をしていくのか想像することができる。
無から有を生み出すときに大事なのは、突発的な発想ではなくてそういった起源を掘って、今に至る文脈を理解していくことなんじゃないかと最近強く思っています。“あるものが形になるまでのルーツを探ることは人が創造的であるために、非常に重要なことだと思っています。つくり手の志がそこに秘められているからで、それにインスパイアされた人が次のつくり手になる可能性が非常に大きいからです。”
“僕が今やりたいのは、個々のお客様の嗜好や体調に合わせたオーダーメイドレストランです。メニューはなくて、お客様が来たら、「今日は体調どうですか」とお聞きし、それに応じて、まず一品つくって差し上げる。”
“あとはイノベーションを触発するような食空間づくりもやりたいですね。会食などが良い例ですが、いろいろなアイデアや人との関係性は飲み食いの場からよく生まれます。だとしたら、会社の社員食堂をそういう場にしてしまえばいいのではないかと。メニューは毎日一種類だけで、皆が同じものを食べ、談論風発してもらうわけです。メンバーの選定と席順はAIに任せて。”