米、プルトニウム削減を日本に要求 核不拡散で懸念
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日本のプルトニウム保有量は48トン。
高速増殖炉による核燃料サイクルの実現に向けて備蓄されているものですが、肝心の高速増殖炉が頓挫しており、実質的に使い道がないままなっています。
ちなみによく原爆6000発分とか言われますが、軽水炉で生成されるプルトニウムは実際問題として核兵器に使用されるプルトニウム239の含有割合が50%未満しかなく、そのままでは兵器への転用することはできません。
ただし理論的には爆縮速度を上げれば、兵器への転用も不可能ではなく、潜在的には日本の安全保障の一助になってきた側面も否定できないのです。
そんな訳で今年7月に日米原子力協定が期限切れになることと合わせ、このプルトニウムについての懸念は再三俎上に上げられてきました。
時期が時期だけに北朝鮮との関連が注目されますが、今回の件は恐らく北朝鮮ではなく韓国の方の問題です。
というのは、韓国は日本のプルトニウム保有を問題視し、アメリカとの間で同じようにプルトニウムを抽出、保有する権利を交渉しているからです。
これは半島の非核化を求める、アメリカの立場と相反します。
つまり朝鮮半島の非核化のためには、韓国のプルトニウム保有を諦めさせなければならず、それにはライバル日本がプルトニウム保有量を削減しなければならないという理屈だろうと考えられるわけです。昨年のこちらのサンケイビズの私のインタビュー
CO2の削減目標維持して原発ゼロは矛盾
https://newspicks.com/news/2522520/
でもお答えしていますが、今年は日米原子力協定の30年ぶりの見直しの年です。記事にも書かれているように、既に半年前に自動延長の手続きに入っていると思われますが、それならば日本はプルトニウム削減(消費)の道筋をつけねばならないわけです。
しかし、先般公表された「エネルギー基本計画」案では新増設の言及はなく、中途半端なものでした。それで米国として日本にちゃんとしろと言ってきたのではないでしょうか。北の非核化プロセスがあればなおさらです。
残念ながら、北朝鮮情勢などの外交問題がある上に、モリカケ問題で重要法案の審議が進まず、働き方改革とIR法案がなんとか審議できたという状況。一般海域の洋上風力の法整備は後回しになっています。
さらに、憲法改正という戦後最大ともいうべき課題を抱えている現政権が、このタイミングで原子力についての国民的決断をする事が出来なかったのは、限られた政治資源の中では仕方がなかったのかも知れませんが、野党やマスコミがモリカケなど虚構のスキャンダルではなく、原子力などのエネルギー問題で政権を追求してくれていればどんなに良かったかと、思わざるを得ません。
とはいえ、世間の関心は低いでしょうが。