人工知能研究のトップが明かす「ＡＩは悪夢か福音か」
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「AIに関する議論が混乱しているように感じています。人工知能が人間の知能を超えるのかという議論をよく耳にしますが、これは問題の設定がおかしい。AIというのは仕事ごとに異なるプログラムが組まれています。ですから、あるタスクに限れば、人と比べて優れているか、劣っているかを判断できますが、プログラム総体を人間と比較しても意味はありません。」（記事引用）
基礎情報学の提唱者である西垣通さんは、機械としてAI的知能と、生命体である人間の認知力を同列に論じることは間違い、という意味の指摘をされている。この差異については様々な角度から議論できるが、タスクに限定されず、論理性にも縛られず、融通無碍に異次元を渉猟する「越境力」にこそ、人間的知性の真骨頂があるということなのだと思う。
しかし西垣先生は同時に、今日の「専門家」（研究者など）は、極端に狭い専門性に閉じこもり、領域横断的な知性や教養、洞察力を喪失していることを憂慮されている（その象徴的出来事が3.11後の原子力関係の専門家の対応であったと糾弾）。私たちがAI時代に取り戻すべき本来の資質が、「越境力」なのではないだろうか。ドキドキし、ワクワクする感覚、自明のものに安住し安心したい性癖に抗い、探究の旅に出立する喜びを思い出したい。人工知能（ＡＩ）が進化すると、人間の仕事が奪われ、やがては人間が支配されるのではないかという懸念すら広がっています。私たちは、何を、どこまで心配すればよいのでしょうか。日本のＡＩ研究をリードする産業技術総合研究所人工知能研究センターのトップ、辻井潤一さんにそうした素朴な疑問をぶつけると、意外な答えが返ってきました。
