新興市場の状況、08年の金融危機当時よりも悪い-ラインハート氏
コメント
注目のコメント
新興国自体の状況は改善している面も多々ある。例えば、外貨準備の状況や国内のセーフティネット状況、金融制度の洗練さなどだ。
一方で問題は、金融危機以降の異常とも言える世界中での過剰流動性だ。マイナス金利も含めた極端な低金利が当たり前となった世界が長く続いたことで、新興国もすっかり、そういう世界に慣れてしまった。そこに脆弱性がある。昨年のアルゼンチン100年債や、内戦中のコートジボワール債への投資家の旺盛な需要は、新興国にしてみれば、簡単にドル債務を増やせる甘い環境であったことの証左だろう。
従って、米国が少し金融正常化に踏み切るだけで、一部の脆弱な新興国は早くも動揺する。そして怖いのは、その連鎖だ。当初は脆弱な新興国に限定された動揺であっても、根っこは同じため、やがて他の新興国にも連鎖し、その先は先進国も影響する。こういう展開は十分に予想されるだろう。米国の利上げフェーズでは、世界の様々な金融市場への影響が発生しうる。
そもそも自国通貨の信認が弱いので、ドルで調達・取引をしている場合も少なくない。資金調達コストへの影響もあるし、ドル市場の規模と自国の金融市場規模の差が大きいので、その資金移動の規模自体が影響を与えうる。
過去にはそれでアジア危機などにもつながっている。もちろん、そのころと比較して外貨準備高を増やしたり各国も対応をしてはいるが、さてどうなっていくか。
下記は2016年の川端さんの記事だが、主要新興国のその時点での対外債務と外貨準備高の比率などもまとまっている。
https://newspicks.com/news/1573440/新興国市場の脆弱性は形を変えつつも以前からであって今になってということではないですし、これをもって08年の金融危機当時よりも悪いというのは論拠としては薄いように思います。
とはいえ、市場が脆弱であるには違いないので、米国が利上げ局面にある現在、よりリスクに対して感度を高めておくに越したことはないでしょう。