雇用が大幅に改善しているのに、なぜインフレ率は低迷したままなのか
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日銀やアベノミクスの最大の問題は、異次元金融緩和後のインフレを20世紀の経済学に当てはめて期待したこと。私は5年前からインフレ2%は起こり得ないとあらゆる場で明言していた。根拠は経済心理学、すなわち現在のマーケティング発想からだ。世界的にも最も高齢化社会の日本では未だ定年は60歳。老後15年であったひと昔前と比べて二倍ほど定年後の人生が長くなった。しかも、老老介護の時代。自分の老後に備えた貯蓄で親を養い介護しなくてはならなくなった。しかも厚生年金の支払い時期は5年伸びている。そんな時代に、少しボーナスが増えたくらいで消費にお金が回るはずもなく、ただ貯蓄に回るのみ。だから、若い世代は車も持たず、シェアリングエコノミーに走る。20世紀の経験値から導き出された経済学の計算をもってしても、高齢化社会における将来への経済的不安という新しい現実を見ずして、今の消費経済は理解出来ない。
本当にインフレを起こすためには、法律で定年70歳を義務づける。民間企業は高い労働力コストに耐えれなくなり、従来の年功賃金制度は維持できず職務給へと移行せざるを得ない。
いずれにしても、将来の経済的不安を取り除かない限り現状のデフレからの脱却はあり得ない。単純に失業率がまだNAIRUに到達しておらず、賃金の上昇が乏しいからでは。その背景には、まだ完全雇用ではないことや、労働規制が厳しい等の日本固有の雇用慣行があるでしょう。完全雇用だったら人口減るなかで雇用増えませんから。
昨日の毎月勤労統計では、賃金が上昇し始めたことが示されました。景気が改善しても賃金・物価が上がらないという「謎」が解消し、いよいよ日銀が待ち望んだ世界に入りつつあるのかもしれません。