地銀揺るがす「素人運用」
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注目のコメント
損すると素人といわれる。JPIFの損失が増えた時に民主党の連坊さんたちが騒いでいた。今は黙ってしまった。プロと素人の違いは何か。リスクを取らずにリターンは得られない以上プロも損をする。投資の世界では当たり前。しかし、本質的な問題はそこではない。日本の運用産業が国際的に発展しない理由は。運用で成功しようが失敗しようが首になることもない。賞与で差がつくこともない。上司から指名されてそのポジションでやっているだけ。インセンティブのない運用業は世界でも珍しい。だからいつまで経っても"素人"なのだ。
(過去コメント再掲)
貸出し事業が伸び悩むなか、多くの地銀が自己勘定資金による投信の短期売買等で期間収益のかさ上げ(コア業務純益の「お化粧」)を行っていることが金融庁のレポートでも指摘されていますが、言うまでもなくこれは健全な状況ではありません。
「自己資金運用はいまや『本業』である」とこの状況を焚き付けるような言説が足もと散見されますが、地銀(銀行)にとって自己資金運用事業は「主要事業」の1つであっても、「本業」では決してないと考えます。これは銀行法の第1条で同法の目的を「もつて国民経済の健全な発展に資すること」と定めていることや、第10条第2項で有価証券運用業務を「付随業務」と位置付けていることからも明らかです。
従って、私は地銀(銀行)が自己資本でリスクを取って自己資金運用事業に取り組むことに反対です。通常の株式会社であれば自己資本でリスクを取るのは株主からの要請であり当たり前のことですが、銀行においては銀行免許という特権を付与された引き換えにそれは制限されていると考えるべきです。そうでなければ地銀はもはや銀行法10条に定める「本業」によって「国民経済の健全な発展に資する」主体ではなく、地方に所在する投資ファンドと変わらなくなってしまいます。
自己資金運用事業でリスクを取るリスク配賦原資は原則として「本業」による期間利益のみ、百歩譲って保有有価証券の含み益も合わせた金額の範囲内に留められるべきであり、「本業利益」が赤字である約6割の地銀は自己資金運用ではリスクを取るべきではありません。
では地銀は今後どうすれば良いのか?自己資金運用による「お化粧」が許されないのであればどう生き残るべきか?
私は「本業回帰」しかないと考えます。残念ながら、これは「この戦略が最適ですよ」という積極的な解ではなく、「もはやこのナローパスしかない」という消極的な解です。ただ、「本業」ではない自己資金運用でリスクを取って収益を狙えないのであれば多くの地銀にとってもはやそれしか道はありません。担保・保証に依存していた貸出し業務をいま一度見直し、事業性評価による貸出しで利回りを高める/維持するよう努める、その事業性評価プロセスのなかで見いだされる資金以外の需要に対するソリューション提供による手数料の獲得、そして個人向け資産運用サービスによる手数料の獲得です。