カシオ、コンパクトデジカメ事業から撤退か
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意外と認識されていないが、衰退産業でマーケットシェアがある製品は、企業の収益を支えるキャッシュカウだ。早すぎる撤退は、大きな収益の損失となるのは経営学の常識である。
しかし現代の事情は少し変わってきている。衰退産業には人材の吸引力がなく、労働人口の減少という前提に立つと、収益ではなくて人材という側面から撤退するという選択肢が出現してきたのだ。デジカメを市場に普及させた最初の機種は写真にあるQV-10。
カシオのセグメント開示ではデジカメはGショックなども含まれるコンシューマ事業の一部。決算説明資料を見ると、例えば10~12月期は売上YoY-30%、営業赤字10億円と記載があり、厳しい状況は伺える。
報道が真とすれば、経営としては正しい意思決定とは思うが、残念でもある。
日経の報道は下記。
https://newspicks.com/news/2981719液晶パネルが付いており、その場で撮った写真を確認し、人に見せることができる。
その場で写真を見ながら、不要な写真を消去できる。
前方だけでなく、後方、つまり自撮りができる。
撮った写真をすぐにPCに取り込み、保存できる。
今ではごく当たり前のこれらは、全てカシオのデジカメ「QV10」が世界で初めて実現し、普及させた機能です。
それまで所謂デジカメは、スチールカメラと言われ、高価で、堰体も大きく、マニア向けのとても扱いづらいものでした。
その意味でQV10の出現は、単にコンデジの元祖というだけでなく、現代のスマホに至るまでの全てのデジカメの母ともいうべきものだといって過言ではないでしょう。
時代の流れとは言え、真の意味でイノベーションを起こし、一時代を築いたカシオの退場は、なんとも言えぬ寂しさがあります。