「フェイスブック問題」は終わっていない。次はグーグルと……
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8700万人分もの個人情報データを漏洩し、フェイクニュースの拡散について問われたザッカーバーグ。結局は、政治家のテクノロジー・リテラシーの低さに救われた形でザッカーバーグは公聴会をうまく切り抜け、日本では問題が一件落着したかのごとく、報道が止んでいます。
しかし、問題は何一つ解決していませんし、アメリカにおいてフェイスブック問題への関心は高いままです。今後、無料オンラインサービスと個人情報という「対価」のあり方に加えて、テクノロジー企業の倫理の問題がまだ問われ続けそうです。「個人データ取り扱い業者」が、危険物取り扱い業者のように規制されるのは必至、それによりデータプラットフォーマーたるITメガ企業の収益性を大なり小なり痛めるのも必至。
ただしこれは彼らにとっても悪い事ばかりではなく、いきなり抹殺されるより正しい規制を敷いてもらいアジャストしていきながら民衆と共存共栄していくのがベスト。
ただしここでGoogleとFacebookを同列に扱う節があるのはミスリード。
データの量、広告取り扱い高の量は確かにGoogleのほうが大きいが、Facebookはデータの取り方が根本的に異なる。デモグラフィックやインタラクティブなアクションによりかなりダイナミックなデータが取れるFacebookはGoogleとは比べ物にならない精度の個人の指向性データが取れる。だからこそケンブリッジアナリティカは選挙に使った。Facebookだけではないというのはそのとおりだが、実態は各社各様の方法であり、Facebookが今回明らかに脇が甘かったし、実際に大きなミスを犯した。
プライバシーに関しての懸念はIT/ネット企業に限らない。自分に関してどこまでのデータがどこでどのように利用されているかがわからないのが気持ち悪く、それが悪用されたときの被害が心配だ。ネット企業に限らないと言いながら、ネット企業のほうが取得されているデータもその利用範囲も広い。ただ一方、デジタル技術であるため、本来はトラックすることは可能。それをどこまでデータを提供した(提供させられた)本人に開示するかだ。
公聴会では、議員側の無知も明らかになった。今後、他IT企業トップを招集するのも良いが、本質的な議論をしないと、また今回のザッカーバーグのように終わるだけかもしれないし、無知が故に行き過ぎた規制へと向かってしまうかもしれない。
その点、欧州は昔から個人情報保護に関しては米国の一歩も二歩も先に行っている印象を受ける。今回のGDPRは個人的にはやりすぎにも思うが、欧州という市場に対応するために、国際的なサービスを提供する事業者はすべて対応を迫られた。欧州発で世界への流れが個人情報においては過去にもあったが、今回はどうなるだろう。また、もう1つの巨大市場、中国は。
国が果たして、本当に個人の側にたって、個人の保護と利便性というバランスを持った規制を考えられるのかは、複雑で難解な技術をどこまで理解できるのかということと、国や地域が他の国やそこに本社を置く企業への政策的な対抗という立場を捨てて考えられるかにかかっているように思う。