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「~をしたい」と「~になりたい」はずいぶんと混同されがちです。たとえば、「大学院で研究をしたい」と言ってくる学生がいたとして、どうしてかと聞いたら「大学教授になりたいから」だったりします。大学教授になって何をしたいか聞くと「会社に行かずに生活が安定するから」とか「テレビに出てる~みたいになりたいから」だったりします。そのことの良し悪しはともかく、この場合、「大学教授になりたい」のであって「研究をしたい」わけではないですよね。どうしても何か知りたいことがあってひたすら突き詰めて知りたいから研究したい、ではなかったりします。
 「政治家になりたい」というのも、「行政をしたい」「立法をしたい」というわけではなさそうな場合がけっこうありそうです。

辻一弘さんの場合も「メイクアップ技術者になりたかった」わけではなくて、たぶん、メイクアップ技術を使って表現したい、とりわけ人間の顔を造ってみたい、というやむにやまれぬ「~をしたい」気持ちがあったのでしょう。こういう衝動は困難と併せて大きくなっていくことが多く、ソクラテスがてんかんと人間関係に悩み死刑になりながら人にものを訊ね続けたように、ヘレン・ケラーが言葉を見出したように、ライト兄弟が自分たちと周りの人々を不幸にしながらも飛行機を完成させたように、それを達成せずにはいられないため、やむにやまれず「~をしたい」とこだわり続ける人というのはいます。困難を与えられなければ人は成長しないとは思わないし、万人に当てはまることではありませんが、何の得にもならないのにそうし続ける人は確かにいます。
 単に「メイクアップ技術者になりたい」というだけなら、米国に渡りアカデミー賞をとることはないでしょう。日本にいながらメイクアップ技術者として食べていくこともできます。「大学教授になりたい」というだけで後世に残る世界的な研究をしたり、「政治家になりたい」というだけで歴史に名を遺す統治者になる、ということはあまりないように思います。

辻さんの兄弟子であるリック・ベイカーは近年、メイクアップ技術や映画だけにこだわることをやめて、3D技術なども駆使しながら、様々な場で表現することに乗り出しています。元々、マイケル・ジャクソンのメイクを担当したりしていて、彼の場合も、メイクアップ技術者になりたかったわけではなく、何らかの表現をしたかったのでしょう。
個人的にこの連載、とても好きだし響く点が多い。
相対比較で頑張れる世界と、絶対基準じゃないといけない世界があると思っている。絶対基準は自分との戦いだから、自分の欲求や審美眼をどれだけ理解しているかが重要だし、そのためには結局向き合い続けるしかないし、それは人生そのものだとも思う。
『だから結果を出すためには、自分は何なのか、何を欲しているかをわかっていないといけない。そして人生そのものだからこそ、苦労も乗り越えられるんです。』
人それぞれに、懸命な努力をしたくなるトリガーが異なる。

・他人と違う人をして突き抜けられる人
・他人と競い合って突き抜けられる人

自分が奮い立つトリガーが何になるか知っている人は強い。
夢中になっている時、何が要因になっているかを分析する癖をつけよう。
やりたいことだけではなく、やらないことも強烈に明確化し、遠ざけているんでしょうね。そうでないと、大きな成果は出せない。
この連載について
独自の視点と卓越した才能を持ち、さまざまな分野の最前線で活躍するトップランナーたち。これらのイノベーターたちは今、何に注目し、何に挑んでいるのか。毎週2人のイノベーターたちに、さまざまなテーマで大いに語ってもらう対談企画。