コラム:世界貿易戦争で割食う日本円の「危うい立場」=唐鎌大輔氏
Reuters
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注目のコメント
諸々の要因が交錯しており先行きが見通しにくくなっておりますので、ここで基本に立ち返りbig pictureで考えましょうという趣旨です。言われている通り、為替はフェアバリューがない世界であり、ピンポイントで水準を指摘するのは困難なアセットクラスであります。しかし、実質実効為替相場(REER)や購買力平価(PPP)に照らして「過剰な水準」というのは必ず存在するものであり、それを指摘し、潮目を提示することは私は可能だと考える者です。「ランダムウォークだから考えても無駄」というのは一種の思考停止と思います。要点は以下の通りです:
・実質実効為替相場(REER)は平均回帰性向を持つことで知られる
・過去1年間でユーロやポンド、メキシコペソといった割安通貨はしっかりと上昇した
・過去1年間でドルやスイスフラン、豪ドルといった割高通貨もしっかりと下落した。
・唯一、円だけが大幅な割安通貨にもかかわらず放置されているのが現状であり、2月以降に進んでいる円高は「調整が1年遅れてやってきている」という印象。
・為替相場において、米国の願う方向感は大体叶う。保護主義とドル安は親和性が極めて高い。
宜しければご笑覧くださいませ。政府が身動き取れず、また日銀も名目上は現状維持ながらも実質的に緩和縮小状態にある中では、少なくとも目先は円高方向に目を向けざるを得ないかと思います。
とはいえ、ドル円は大勢的に100円前後の水準が注視されていますが、仮に一旦そこまで円高進行したとして、その先も同一方向に流れるかというと現時点では決め打ちするには早計と考えますので、そこが潮目となるかどうか日米の政策動向とともに気にしておきたいですね。