【入門解説】廃業・破産・再建。いろいろある「会社の終わり方」
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破産、民事再生、会社更生…企業倒産のニュースでは普段、こうした言葉が当たり前のように使われています。連載第三回は、それらの違いについて改めて、分かりやすく解説していきます。まさに「今さらきけない、倒産にまつわるしくみ」をお送りします。
10年くらい前は企業再生の仕事をしていましたから、こういう記事はとても懐かしいですね。
さて、折角ですからここで触れられていない重要な点を1つ。
会社の終わり方は、法的整理と私的整理があるというのはよく言われることですが、その差は何かというと、法的整理の場合に出される裁判所の「財産保全命令」と「個別弁済の禁止」が最大のポイントなのです。
よく昔のドラマとかで、債権者の委託を受けたヤクザが乗り込んできて社長を監禁し、「金返さんやったら肝臓売ってでも返せや、コラッ!」とか凄む場面がありますが、法的整理の場合はこの行為は個別弁済にあたり、一旦法的整理になれば、社長にはそれを行う権限がもうありません。
逆にそれを強いたヤクザが違法となり、最悪の場合逮捕させることになります。
このように現代の整理の多くは法的整理なので、実はドラマの様にヤクザが乗り込んで来るということはないのです。
ただ地獄の渡し賃も六文銭で、法的整理には裁判所への予納金や弁護士代など一定のお金がかかります。
このお金まで使ってしまうと、もうジ・エンドです。
私たちはこの最後の法的整理のためのお金を命のお金と呼んでいましたが、このタネ銭をどう残すかが、私たち再生コンサルの腕の見せ所だったのですね。
企業再生の世界は知っているか知らないかで、リアルに生と死を分けることになります。
私もこの分野では多くの経営者の死をリアルで見てきました。
こういう知識を持っていることは、本当に大事ですから、経営者やこれから起業する方は、縁起が悪いと敬遠せず、しっかり勉強しておくことも大事なのです。本当にどのような「終わり方」になるかで、ステークホルダー間での配分や影響度合いが時に天と地と言っても過言ではないくらい変わるのは興味深いと同時に恐ろしいと実感しています。
倒産に関し、私は金融(債権)側なので、その観点からの回収極大化を図るための選択肢を考えます。一方、先輩で金融(債権)側を経験した後、事業側に移り、有事の際に、言葉を選ばずに言えば「いかに合法に踏み倒すか、金融債権を免除させるか」という金融機関泣かせを経験した方がおり(最後、金融側に戻ってきました)、酸いも甘いも、表裏を知る御話に身が凍り付くとともに、現実として受け止めてどう対応していくか考えさせられた記憶がよみがえりました。