日銀と株・為替市場の「これから」を考える
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注目のコメント
本当にこの部分が首肯できます→「黒田氏はこれ以上ないというほどのインテリであるが、経済理論と市場の関係については身をもって学んでいるので、市場に対して身体で反応しているのだ<中略>だから政策自体は間違っていたが、総裁の仕事としては市場のコントロールに成功し、この5年の前半は大成功を収めてきた」
とある海外投資家の方から「株価というのはライオン。ライオンを上手く使って支持率を得ると最初の勢いはすさまじい。しかし、最後までライオンをコントロールは誰にもできないのだが」という趣旨のお話を聞いたことがあります。これは正確には株価と為替というのが実情だと思いますし、日本においてはことのほか為替への執着が強い国になります。為替は常に「相手(というか米国)がある話」であり、往々にして日本の目指す方向感は米国のそれと一致しなければ願いは叶いません。トランプ政権がどちらを向いているかは説明するまでもなく、ゆえに、1年前からドル安はしっかり進んできたわけです。このような中で円高がさほど進まなかったとは私は単なるラッキーであり、ここからはそうはいかないと考えています。
なお、為替の動きに関しては、「ランダムウォークで予想できないことが理論的に実証されているから、為替の予想など競馬の予想と一緒」としたり顔で解説する知識人の方(大体市場の外の方)をNPでも拝見しましたが、であれば、金利や株価だったら予想できるのかと言えば、全くそのようなことは無いでしょう。結局、金融資産の動きはいつだってボトムアップで説明するしかないわけで、それは株も為替も金利も大差ないと私は思います。
その上で、小幡先生が最後に触れている「市場は、世間と同じく「適当」であり、「気まぐれ」であるが、合理性を超えて、的確で妥当な柔軟性を持っている」という基本認識を持ち、事態を客観的に捕捉する努力が大事だと考えます。白川総裁時代は、ソロスチャート(中銀のバランスシートと為替は相関している)をもとに金融緩和をせよ、という論調もありましたが、現実に理論通りいかないことの方が多いですね。理論はいろいろありますが、為替市場などは、何かをきっかけにして、理論とは無関係に無情な動きをします(そのことは政策担当者は良く熟知していると思います)。仮に次の危機が起きて、無情な市場の動きがあった場合の日銀総裁の役割は極めて難しいものになることが予想されます。政策のイノベーションがまた必要ですね。