【シリコンバレー✕日本工場】これでファッションの新市場がまるごと狙える理由
コメント
注目のコメント
約三年前、私はテクノロジーのちからを使って、カスタムシャツの世界を一気に広めようとしているシリコンバレー企業に出会いました。それこそジン・コウさんが起業した、オリジナルステッチです。
彼は米国籍ですが、メード・イン・ジャパンの品質のカスタムシャツを量産する仕組みをつくるため、日本中の縫製工場を探し回っていました。今回のレポートで紹介した工場も、その時に同行したものの一つです。
思えばアップルも、素晴らしい電子部品や素材メーカーを、日本で探し回りました。そしてiPhoneのような素晴らしい質感の商品を生み出しました。ファッションの世界も、新しいテクノロジーとすぐれた生産現場が、いかに掛け合わさるかという化学反応が鍵になりそうです。ゾゾ、ユニクロ、アマゾンと、これからカスタマイゼーションを進めるプレイヤーたちも、今ごろ、様々な取り組みを薦めているのでしょう。おお、日本のシャツメーカーの雄「フレックスジャパン」さんが!!シャツのクオリティはもちろん、自社メディアの展開など新しいチャレンジにも積極的で、社長を始めとする社員のお人柄が素晴らしい会社です。カスタムシャツEC「オリジナルスティッチ」の記事にて。
EC専業ブランドの拡大ストーリーの1つは「プラットフォーム化」ですね。ただ、すでにAmazonやZOZOがある状況下でのプラットフォーマーの要件ってとても難しい。リアルタイムプレビューやメーカーと構築したサプライチェーンは新規参入する小規模アパレルには魅力的だと思いますが、既存アパレルにとって手数料を払い続けるほどのメリットがあるでしょうか?
マス・カスタマイゼーション自体のトレンドはあると思います。その際に重要なポイントの1つはユーザー体験の作り込み。そしてもう1つが生産体制の革新です。ZOZOはそこまで踏み込んでいるようですが、この一見派手ではない部分こそ、差別化の源泉になりえるのではないかと思います。私は、誰もがこの世に生きてきた証を残すポテンシャルを持っていると考えています。Original Stitchの夢は、人々が自分自身の生きてきた物語を服装で表現できること。だからこそ、ビジネス、カジュアル、フォーマル、ユニークと色んな種類のシャツを個性とスタイルに合わせて作れるようにしました。
世界は広いです。私たちのソフトウェアプラットフォームは、幾千もの文化や何十億人という個性に対応する能力を与えてくれました。SaaSを自社開発、文化的嗜好やスタイルに対するデータを蓄積しています。例えばUSA国内だけを見ても、州によってスタイルやテイストは異なります。日本においても然りです。
アパレルの未来はパーソナライズとカスタマイズにあると確信します。Uberは移動手段、Airbnbは宿泊体験、Netflixはエンターテイメント、Facebookは情報配信において、それぞれパーソナライズされたサービスを提供しています。
アパレル産業は、世界規模で数百兆円もの規模を誇る巨大市場ですが、パーソナライズを考えないブランドは、隕石衝突によって絶滅してしまった恐竜のような運命を辿ることになるでしょう。
私は、Start TodayがZOZOとしてカスタムアパレルの世界に進出してきたことは、とても賢い戦略だと思います。ZOZOはUNIQLOと対決するのではありません。本当のところを言えば、ZOZOはUNIQLOをカエル跳びして超えていくはずです。イーロン・マスクはこう言っています。「業界の巨人に対抗するためには、たとえ巨人に対して自分が2倍ぐらい優れていたとしても勝てるものではなく、10倍ぐらい優れた何かがなければいけない」と。私もその点は同感であり、ZOZOというのはまさに、その10倍優れた何かをStart Todayにもたらそうとしているように思えますし、Start Todayの時価総額はZOZOが世界を変えるなかで10倍に高騰するでしょう。
ZOZOに対する巨額の投資により、カスタムアパレルへのトレンドは加速するはずです。その流れは、既存のブランドや古い世代のオンラインアパレル企業に対して強烈なプレッシャーを与えることになります。