スタートアップ時代が終わった後に何が来るのか?
コメント
注目のコメント
この論にはYes and Noの意見。
先日のリークワンユー大の講義でも話したのですが、
簡単に言えばネット産業は成熟期に入りました。
米国メガ5+アリババ・テンセントの「新7シスターズ(7シスターズとは石油資本カルテル)」による寡占です。どの産業も成熟期になると寡占化します、ネットも例外ではない。
しかし、ネット産業は勝負あったでも、ネットの外は始まったばかり、むしろ創世記状態。
問題は、ネットの外もセブンシスターズが資本力とデータ量で牛耳る世界となるのか、あるいはネットのようにスタープレイヤーが生まれるか。
その地は少なくともサンフランシスコではないのは産業集積の歴史上当然で賛成、半導体集積地のシリコンバレーも、強者で居続けるものの英国、イスラエル、中国、インドの勃興と、人件費・地代の非常識な高騰や格差によるポピュリズム台頭でビザ問題などもあり、一強の地位は相対低下のベクトルにあるのも賛成。
ただし本論ではAIもハードも自動運転も暗号通貨もスタートアップに不利で大企業に有利だと論じている、その点は私は反対です。持たざる者の有利もあるし、過剰流動性によるハイバリューでの資金調達環境もあり、そして何より歴史は証明しています。
あらゆる産業、特にコンピューティング産業においては、革新は新参者によってなされます。アップルがIBMを、グーグルがMSを、フェイスブックがグーグルをディスラプトして現在の栄華があります。いつの時代もその始まりには皆、小人が巨象に勝てるわけなど無いと言われるものです。
というよりむしろ、大企業とスタートアップの共存共栄時代がはじまった、とみるほうが良いかも知れません。今人類みんなでそのベストプラクティスを積み重ねる、その努力はまだ緒に就いたばかりです。スタートアップと大企業、上手く組んだもの勝ち。でも、文化が違うので「言うは易し」なのです。少なくとも3人以上の、どちらにも行き来できる「つなぎ役」を育てないといけません。相互の会議に出てモメそうな所はキーマンと携帯かFBメッセンジャーで直談判できる人材。大企業の中で割と柔軟な考えを持った人と、スタートアップの中で大企業の経験のある人が、そう言う人材になる素地があります。
2012年と現在でYC出身スタートアップのトップ3の顔ぶれが変わらないというのは以前から感じていることで、少なくともネット産業が相当程度成熟しているのだとは思います。今に始まったことではありませんが、アクセラレータレベルのDemoDayではほとんどが既視感のある事業ばかりです。もちろん、これからも一段階飛び抜けたマーケットが出現するのでしょうが、ここ数年は出涸らし感はあります。2017年の現在、「オンライン上にウォルマートのようなショッピングサイトを構築する!」と宣言したら、「大丈夫か?」と思われるのがオチでしょう。
一方で筆者はスタートアップが独立独歩で巨大化することをもってして「スタートアップ時代」と呼んでいるようですが、個々のスタートアップは社会全体から見ればR&Dであり、社会実験の駒です。独立独歩であれ、大企業に取り込まれてサービスや要素技術が活かされるのであれ、新興企業が生み出すものが社会にインパクトを及ぼすのであれば、それでいいんじゃないでしょうか。