人口・企業減下の金融機関の競争激化、経営不安定化のリスク=日銀
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日銀が年に2回発行する金融システムレポート。詳しいことは天野さんにお任せするとして、私はこのレポートを重宝しています。
結論としては金融仲介活動に過熱感はなく、金融システムの安定性も大丈夫だが、構造的に収益性を高めないとまずいという内容です。
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr171023b.pdf
しかしP5のグラフはいずれも過熱感を感じさせますし、P8の不動産市況は参加者のコンセンサスがサイクルのピークにあると述べています。私は本文の行間に「資産価格がエアポケットに入った場合のショックには気をつけろ」と読みこみました。
そのほか、論点山盛りですが、今日はこの辺にしておきます。日銀による半期に一度の金融システムレポートが公表されました(①)
椎名さんがコメントされているヒートマップは毎回要チェックですが、今回の個別論点としては、国内の金融機関の店舗数や従業員数が、需要対比で過剰となっており、収益力が低下している構造的要因となっているとの指摘が注目点です。指摘自体は目新しいものではないですが、地図で示されているのが特徴的です(②)。大都市圏が赤いですが、それ以外の地域でもちらほら。
地銀の収益力については、前回のレポートでも言及されています(③)
①原文はこちら
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr171023.htm/
②金融機関が過剰となっているエリアの地図
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr171023d.pdf
③地銀の収益力についての分析(2017年4月のレポート)
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr170419a.pdf
BOX3 地域金融機関の競争激化とその背景
→ 長短金利スプレッドだけが収益力低下ではないようです。
BOX7 金融機関の経費率に関する国際比較
→ まだ生産性をあげられるということでしょうか。人口動態、需資低迷、オーバーバンキングなど目新しい問題点の指摘がなく、アカデミックなワクワク感もありませんが、現状の総括としてはよいと思います。
オーバーバンキングというより、オーバーデポジット。
需資低迷というより、真の(相応の信用リスクを伴う)需資の追求力低迷。
それが克服できれば、必ずしも再編しなくとも生き残る機関はあると思います。