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日本で風力がなかなか根付かない背景には、地理的な要因以外にもいくつかあります。
一つの大きな要因は、風力による発電事業は、太陽光等に比べ比較的事業設計が難しいのですが、そこをちゃんとやらずに発電事業としてではなく、大手デベロッパー主導による再開発事業として開発を行って来てしまったために、失敗案件が多くなってしまったことです。再開発が目的の場合、いかにたくさんの風車を建設するかという案件になってしまい(メーカーにとっても好都合)、建て過ぎてうまく風車まわらないといったことになります。しかも、国の補助金で建てているので、引っこ抜くと補助金を返済せねばならず抜けない。
FIT以降は、いかにたくさんの電気を発電するかというインセンティブが働くので、そういう失敗は少なくなっていると理解しています。
もう一つは、三菱重工という最大の風力タービンメーカーが日本を相手にせず米国に照準を絞っていたことが指摘できます(後にGEと訴訟を起こし、欧州にシフト)。
国内に主要メーカーがいないことは、ロビー力に関わります。太陽光は国内に有力なパネルメーカーがたくさんあり、産業政策の一環として政府の支援を受けやすい土壌がありました。
また、「日本風力開発株式会社」が粉飾を起こしたり、他の事案でも業界に暗い話しが多かったのも事実。
そして、FIT以降に関しては、太陽光が先行したのは、単にメガソーラーの買取り価格が異常に高く設定されていたからであり、他の業界が比較的現実路線だったのに比べると突出しています。おそらく、ソ◯トバンクが・・・
それなら風力開発はこれから順風満帆かといえば、必ずしもそうではないと思います。風が良くて連係線と近いという場所はかなり開発しつくされており、最近の新規案件は山間部が多くなっています(これは太陽光も同じ)。
洋上風力は、そもそも用地の入札制度が整備されていないので、開発が思うように進まないという制度上の問題もあります。姉歯事件で建築基準法が改正され、風車に超高層ビルと同様の厳しい耐震基準が義務づけらたことも水をさしています。
風力のkWhあたりコストが安いことは、太陽光に比べて優位性がありますが、安定化コストを考慮に入れていないことは軽視できないと思います。
コストについては、英国では洋上風力が原発より安価になっている(①)。記事にあるように、一気に普及して羽根の大型化(②)含めた技術進化への再投資が上手く回っている(帆船効果が効いている)印象。
欧州について、大陸棚といった要因もあるが、浮体型も進化してきているし、今後に期待したいところ。
①https://newspicks.com/news/2540914
②https://newspicks.com/news/2554983
送電線の利用率についてデータを見たことがないので、20%以下というのは気になった。ただ、欧州はそもそも国家間で電力を輸出入する形で系統が作られている。日本で電力が地域ごとに分かれている構造問題として連系線の利用率が低いことは課題を浮き彫りにする。一方で、その連系線までに行くまでのところの稼働率もみないと、どれだけ系統として再生エネルギーを受け入れられるかは変わると思う。
https://newspicks.com/news/1917078
VPP(仮想発電所)は面白いと思う。先日、下記の取り組みを読んでワクワクした。
https://newspicks.com/news/2546930
見た目だけでなく、騒音や低周波への懸念もありました。
地熱もそうですが、太陽光よりもコミュニケーションが重要な気がします。
大場さんのコメントといっしょに読みたいところ。
わかりやすい解説ありがとうございます。
勉強になります。