いま一番稼げるのは「データ・サイエンティスト」かもしれない
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良記事。データサイエンティストの企業での活躍というのは今後当然起こってくる流れで、疑問の余地がない。問題はいろいろあって、どこにそういう人がいるのか?ということで言うと、自然科学系の博士号を持っている人とかは一番いい候補だが、今まで日本では「専門性が深くなりすぎると潰しが効かなくなり逆に就職できない」などという言葉を信じて博士課程に進む道を諦めた学生も多い。今や時代は「どれだけ深く掘り下げることができるのか」を研究所だけではなくビジネス部門に於いても重視される様になり、このような指摘は全く該当しない。
一方で、データサイエンス自動化の動きも進む。弊社DataRobotでは予測モデルの生成を大幅に自動化しているし、すでに非常に多くの応用事例も生まれている(ご興味ある方は是非弊社イベントに:https://www.datarobot.com/jp/ai-experience-tokyo-2017/)因果分析はたしかに自動化が難しいけれど、予測モデルを使うことで相関分析を超えた要因分析が出来るようになるし、今後因果分析も自動化されていくだろう。重要なのは、それだからといってデータサイエンティストが置き換わるという話は全然リアリティーがなくて、むしろこういったツールを企業の様々なデータに対して応用していくことのできる人材の需要は高まるばかり。エネルギーアナリストが本職だが、一般社団法人 日本データサイエンス研究所 主席研究員という肩書きも頂いている。(しかし、今最も稼げてないw)
教育環境という意味では、国立大学を頂点とする日本の教育システムでは、独立した「統計学部」が存在せず、多くの場合は理系学部の下に位置付けられる。そのため、いわゆる基礎研究から応用までをカバーする文理融合的な(この言い方は間違っているが)領域を教育できる場がない。
これは、私が邪推するところ、統計学は元々は徴用や課税のための人口調査がベースの「国家学(Statistics)」であり、大砲の軌道計算や暗号解読を経て軍事研究として発展したので、戦後の日本の教育システムでは体系的に取り入れられることはなかったのではないかということ。人工知能も同様。
そして、医療研究や社会科学系(特に実験心理学)研究で、かなり恣意的な有意水準設定によるp値検定や、共分散分析が盲目的に横行してしまい、統計とはなんたるかを知る人がかなり限られてしまっている気がする。
こうした教育システムの歪みによる真空地帯は、政治学部("天皇制"の意義の研究とならないよう、法学部の下に政治学科を設置したと言われる)、物流学部(軍事と兵站軽視によると言われる。中国には数百ある)、などいくつかあり、もちろん研究者は存在するが、構造的にアカデミズムの中で発言力を持てないということがもたらす人材的損失は相当なもの。(エネルギーを体系的に学べる場もない)
つまり、記事が指摘するように、日本の教育が果たせる余地は相当あるものの、現在の、文科省-JST-独法化旧国立大、という構造を見直さない限り抜本的な改革にはなり得ないと思う。
日本には、そうしたデータサイエンティストに求められるマルチなスーパースターはほぼ存在しないので、それぞれの能力を持ち寄ったチームプレイで対抗するのが現実的だろう。
参考 弊所代表の著書書評
「機械脳の時代」は始まっている
https://newspicks.com/news/2468383/
そして、データ分析で得た結果を経営判断で重視することができる経営者が少ないという現実もある。
参考
「データサイエンス」とは 大場紀章
http://jdsc.or.jp/about/aisatsu.html
ロストジェネレーションの時代はまだまだ続く。海外ではデータ分析がビジネスにどれだけ使われていて、その人材獲得競争が激しいかという実態を報告すると同時に、日本のビジネスでの活用の遅れとそれを反映した学部教育の遅れについての危機感を示した一流経済学者による記事。必読です。