労働市場の格差、潜在成長損なう=米FRB理事
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格差の存在自体は、残念ながら今に始まったわけではありませんし、米国のみに固有の問題という訳でもありません。
その上で、米国内で最近聞かれる議論として興味深いのは、学歴間の賃金格差や記事が指摘するような人種間の賃金格差がむしろ縮小している可能性です。
こうした傾向が定着すれば、米国社会の安定にとっては良い要素と言えるかもしれません。しかし、現在の政治情勢を考えると、白人層の妬みを増すことで、社会の安定をむしろ損なうリスクも否定できないように見えます。
また、マクロ経済の視点に絞ってみても、金融危機後の雇用の拡大が非熟練労働に片寄る一方、付加価値の大きな雇用機会がITの活用などによって、実質的に海外に流出している事実を反映している可能性もあり、そうだとすれば潜在成長率の低下とも関連している可能性があります。人種の部分に注目が集まりがちですが、講演では都市と地方の間での労働市場の格差に多くの時間が費やされています。金融危機からの回復において、労働参加率等の回復で地方が遅れている点などが注目されており、中国との競争激化に晒されている地域の弱さなど、グローバリゼーションの影響が示唆されている点にも言及しています。
FRBというと中立的なイメージが強く、こういった高官がグローバリゼーションの暗部に触れることは少ないように思いますが、それなりに常識として受け入れられているということかもしれません。ただ、金融政策の側面からは高圧経済を通じて労働市場のスラックを減らすことぐらいしかできないような気もしますが。というか、それができるだけでも金融政策的には大成功だと思いますが。