53歳からの挑戦。アパレルの異端児「鎌倉シャツ」創業物語
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鎌倉シャツの貞末さんのインタビュー。NewsPick有料記事はこういった経営者やイノベーターのインタビューにこそ価値がある気がしています。
「勤めたアパレル会社4社が全て倒産→業界の歪んだ構造に気づいて53歳で起業」というのは身を持って経験したことを活かしていて良いなと思う反面、その4社ではどんなポジションだったのか?どんな悪戦苦闘をしたのか?に、とても興味が湧きました。勝手な想像ですが、経営者のビジョンの欠如、組織全体の危機感の欠如と変化への恐れ、負の遺産整理の遅れなどなど、貞末さんでもどうしようもないようなドラマがあったんだと思います…
あと、SPAを起業する際に「入り口と出口、どちらが先か」で出口からと言うのは今となっては当たり前でも、昔は異端だったのかもしれませんね。ただ、製造業の復活(革新)にはこの発想がとても必要だと共感します。
*すみません、お名前を誤記していたので慎んで修正します。それでふと気になったんですが、「貞末」ってけっこう珍しいご名字ですよね。検索してみたら全国に1,000人いない名字と。本日より、「鎌倉シャツ」で知られるメーカーズシャツ鎌倉の創業者、貞末良雄会長のインタビューをお届けします。
アパレル業界を取材していると、決まって関係者から「ここは凄い!」と名前があがるのが鎌倉シャツです。
まだユニクロもメジャーではない1993年にいち早くSPAモデルを導入して、成功を収めました。会長が96年の元旦に書いた、アパレル業界の見通しは、20年後の今読むと、全て的中していて先見性に驚かされます。
それにしても、53歳から起業するというチャレンジ、普通はできませんよね。
取材時も口調や眼差しのエネルギーがものすごく、鳥肌が立ちそうでした。ブランドビジネスのお手本の1つ。
原価率は55〜60%でエブリデイロープライス戦略が取れるのはプロパー消化率が高いから。多くのアパレルがプロパーで販売する事をサボって原価率を低く設定し、最終セールで在庫処分しているから業界は今のような状況に陥ってる。
鎌倉シャツはビジネスシャツに特化する事によって、「ビジネスシャツといえば鎌倉シャツ」というポジションを築くと共に、オールシーズン使えるアイテムで販売期間を長くとり、セールをしないでいい状況を作り上げている。店頭の坪効率も抜群だ。トレンドアイテムを多品種揃えると、アイテムそれぞれの販売期間がどうしても短くなってしまうのでこうはいかない。このあたりの設計がめっちゃ秀逸だ。
サプライチェーンも大事にしていて、他のアパレルと違って工賃を叩くなんて事はしない。セレクト大手なんかは縫製工場に対して、工賃を叩く上に依頼する物量も不安定だけど、鎌倉シャツは常時安定的に工場に仕事を依頼している。
日本の大手セレクトやSPAはもっと鎌倉シャツから学んだ方がいい。
【追記】
ライターの南充浩さん( https://newspicks.com/user/2064397/ )より補足が来ました(笑)
鎌倉シャツのビジネスモデルは生地に関していうと、定番生地を作らせ続けることで割安に仕入れ、トレンドっぽい柄物は西脇産地の売れ残りの柄物を格安で買って売り切れ御免にしていること。この両面で利益確保ができています。
また生地のメインは中国で5割が中国生地を仕入れていて貞末さんは中国生地の方が品質が良い場合が多いと考えています。4割が西脇産地で残り1割が欧米生地。
そして5割の中国生地のメイン仕入先はヤンガー集団という大手中国メーカーです。
あと鎌倉シャツは自社縫製工場も所有していて、ここが決定的に他のSPAと異なります。自社縫製工場を所有する大手SPAはこことハニーズくらいしかありません。