知覚をきたえる
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シンさん、紹介、論考多謝です。
ハーバード・ビジネス・レビュー5月号の論文は5年にわたって編集長を務められた岩佐文夫さんの退任にあたる特別な特集号で、その巻頭論文を任されたものです。このようなAIやデータが騒がれる時代だからこそ、知性の本質について考えを深めたいというお話でしたので、私のライフテーマと言うべき「知覚と知性」について17000字ほど書いたものを削って13000字 + 何枚かのハードコアな図表にまとめました。
通常の知性論、思考の定義とは相当に違う視点を多面的に投げ込んだつもりでしたが、僕の周りのとりわけ知的レベルが高い人数名を除き、長らくほとんど反応がありませんでした。
(紙やオリジナル論文を読む人が少なすぎるということもあると思いますし、ソーシャル経由で人が解釈してくれたものしか読まない風潮が強すぎるせいもあるのだろうとも思いました。友人の何人かからは、この内容では迂闊にコメントすると、底の浅さがバレるから書けないんだと言われました、、。)
先日、僕の大切な友人の一人である石川善樹さんとそういう話をしていたところ「本当ですか?これは絶対に広く読まれるべき論考です!」とヒルズライフの対談の題材として取り上げてくれ、結構な話題になり、更に、こうやってステキな青年事業家、読書家であるシンさんが取り上げてくれるという形でようやく関心が高まってきて嬉しいです。
興味を持たれた方のために、もともとここでシンさんが引用してくれているDHBR論文についてのNewsPickは以下です。
https://newspicks.com/news/2173781
またここでもmentionされている石川さんとの対談は以下です。
https://newspicks.com/news/2419077
古典かどうかはわかりませんが、僕も読むものは科学書以外は古いものがほとんどでです。ビジネス書はまず読まないです。笑こういうのってなんとなく分かってるつもりでも、こうして端的に文章にまとめられるのって凄い。
「現代において最も価値ある人間の知的活動は、ある情報を受け取った後に、それが何であるのかの意味を理解することや、課題そのものを設定することだ。だいたいどの分野でもそうだけど、プロがプロであるのは観察力が圧倒的に優れていることに起因する。そして、そういった観察力がある人は、隣接分野において新しいものに接したときも学習スピードが非常に速い。」リンク先の対談が素晴らしいと思います。
・知覚こそが人間の思考の核心で、機械学習とは逆のアプローチ。
・未来を予測することはできず、だから、未来は予測するものではなく、創るものである。
個人的には、臨床医学研究は、課題設定こそが本質です。
診療を続けていくと、大小のクリニカルクエスチョンに日々出会います。
これを解決するのに、研究を行う必要は必ずしもありません。というより、極力研究せずに済ませるべきです。
教科書にあたったり、インターネットで論文やガイドライン、医師のホームページなど検索することで解決することが大半で、最も効率的です。
すべてがこのように解決すれば良いのですが、残念ながら過去に誰も取り組んでいないクリニカルクエスチョンであれば、解決するには、自分で研究対象として取り組むしかありません。
ということで、しぶしぶ研究する訳です。
この順番が大切なのであって、論文の一本も書こうか、何かネタはないかな?というアプローチでは、臨床的に意義の乏しい研究が生まれてしまいます。
研究のための研究はつまらなく、労力を必要とし、時に少なからぬ論文を生み出すものの、全く無意味です。専業の研究者とは異なる、研究へのアプローチだろうと思っています。
疑問点に出会ったら頭の片隅に刻んで、絶えず大小のクリニカルクエスチョンを頭のなかに抱えていることが、優秀な医師の条件と思っています。
臨床医にとって、研究ネタの無くなった世界は理想の世界です。
脱線しましたけど。