原油市場で影響力を増す「需要」と「地政学」要因 原油需要を支えてきた中国経済がいよいよ危険水域に
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注目のコメント
中国経済の崩壊による原油需要減があるとしても、それを持って原油の「デマンドピーク」と呼ぶのは少し違う。近年のデマンドピーク論は、燃費改善やEV化による技術的・楽観的デマンドピークのことで、不景気やバブル崩壊によるデマンドピークは、単に世界景気を冷やし、経済的にありがたい話ではない。
ただし、私の見方では、中国の経済が崩壊したとしても、これは2012-14年の3年間の原油価格が100ドル超時代の負の影響の先延ばしが出てきただけとも解釈が可能かなと考えていて、その意味において、こうしたデマンドピークは、実は従来いわれていたサプライピーク(いわゆるピークオイル論)そのものだ。
シェールオイルの生産に陰り(リグ数の増加スピード等)が出ても、なかなか生産量自体が減らないのは、既に掘ったが生産準備段階で止めている未生産井(DUC)がたんまりたまっているのと、平均で生産量の半分の販売価格は1年くらいヘッジしているので、足下の原油価格と生産量はリアルタイムにはリンクしていない、などの理由があります。
サウジアラビアが、売りヘッジを検討中という噂は初耳だったが、今後もウォッチする必要がありそう。下記のエネルギー白書の世界の原油生産動向を見たい。これだけ右肩上がりのグラフを見ると、デマンドピークかというと微妙に思う。もちろんこれまでの中国の寄与は大きかった。でも世界経済は成長しているし、人口も増えている。例えばこれからインドやアフリカの成長といったことももちろんシナリオとしてはある。おまけに過去のこの需要増は、エネルギー効率が改善する中でも起こっている。
ちなみに、下記はざっくりどの地域で生産されているのか、視覚的にイメージも湧きやすい(前にコメントした「シェールは重要だが、一方で世界生産の一部でしかない」といった点につながるところ)。
http://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2017html/2-2-2.html