東京スター銀行が行員2~3人の「超小規模店舗」を出す狙い
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行員の自律や成果の見える化は大事。でも、もっと現場への裁量を与える方が必要。ただでさえ、金融監督庁から縛られてるのに、小さな店舗が増えれば管理事務負担は増えそう。そこも、含めて新たな仕組みつくりたい。
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昔は他行が手掛けない3業種(ラブホ、パチンコホール、産廃)向け融資に注力した東京スターだが、現在はリバースモーゲージにフォーカス。
リバースモーゲージとは、住宅購入で借り入れたローンを死亡時に貸手が売却することで返済する仕組みで、通常の住宅ローンと異なり元本返済負担がない。
近年、空き家放置問題など少子高齢化から派生する問題も多いが、社会的問題解決の視点からも注目されてきた商品である。
本記事では、超小規模店舗という一言が見出しとなっているが、頭取の言いたいことは、人件費・物件費を抑制しながらリバースモーゲージを売りたいということ。東京スター銀行は私個人にとっては、非常に思入れの深い銀行だ。
東京スター銀行は1999年に経営破たんした第二地銀の東京相和銀行を前身として、米国のバイアウトファンドのローンスターが2001年に設立した。そのとき、ローンスターの描いた戦略はリテールを主戦場としながら、顧客を「お金の心配から解放する」ことをミッションとすることだった。富裕層ではなく、一般層を対象とした資産運用をサポートする新しいプライベートバンキングを志向した。
当時、私は博報堂のストラテジックプランナーとして、そのブランド/マーケティング戦略立案に携わった。中でも当時としては異色の銀行店舗「フィナンシャル・ラウンジ」の構想から戦略立案、コンセプト開発、そしてそのプロトタイプ店舗の設計開発に携わった。首都圏在住の人であれば覚えのある人はいるかもしれないが、オレンジ色の派手なカウンターも何もない東京スター銀行の店舗がそれだ。店舗は従来のリテール銀行店舗のようなトランザクションの場所ではなく、顧客・見込み客のコンサルティング営業の場所として明確にポジショニングされた。
その頃に発売されたユニークな商品の1つが、「預金連動型住宅ローン(スターワン住宅ローン)」だ。普通預金の残高と同額分までのローン残高には金利がかからないというもので、仮に預金残高がローン残高を上回れば、ローン部分は無利息になる(当時)。それが、今でいうところの「ペルソナ」というターゲット顧客像に基づいて開発されていたのが、非常に印象深かった。
あれから既に15年近くが過ぎ、東証一部上場ののち、上場廃止、主要株主も転々としたのち、今は台湾の銀行傘下にあると聞くが、「お金の心配から解放する」というミッション、そしてそのDNAは生きているなあ、とこのニュースを読んで思った。リバースモーゲージはこれまで何度か注目されたことがあるものの、なかなか普及しなかった。しかし、急速な高齢化の進展、中間層が所有する不動産資産による中長期的なキャピタルゲインが望み薄になる中で、認知と理解さえ進めば非常に可能性が高い。
メガバンクや一般的な地銀が、店舗という「不良資産」と人件費という「コスト負担」で店舗の存在意義に苦しむ中、ローコスト運営店舗とリバースモーゲージという古くて新しい商品で、どうマーケットに切り込むか、期待したい。僕が今の会社に入った7,8年前から、個人的にリバースモーゲージは注視しているが、信金や第二地銀でもなかなかサービスインを躊躇うほどに、取扱いが増えない。
介入するプレイヤー(弁護士、司法書士、家族、後見人…)や手間が多い割りに、動かす案件金額が小さいというのが、実際の伸びない理由だと思う。
とはいえ、都内でも親の自宅の不動産の処分で困っているケースはそれなりにあると思うので、何とかパッケージ化できないものか。