日銀の債券大量保有と、民間銀行への債券保有規制の矛盾
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論考としては凄く面白いとは思います。民間銀行との対比で言えば仰る通りとは思います。一方、中銀の債務超過や健全性というのは「So what?」というテーマです。最近取り沙汰される日銀の出口議論も「日銀の債務超過→通貨の信認毀損→円暴落→ハイパーインフレ」という直観的には分かりやすい論理展開において考察されることが多いです。ですが、中央銀行の債務超過と通貨の信認の間にストレートな因果関係があるわけではないでしょう。
1970年代のブンデスバンク、2014年のスイス国立銀行(SNB)は共に債務超過が注目されました。しかし、これは共に自国通貨高を主因とする為替差損でそうなったものです。日銀のように介入権が分離されている中央銀行でなければ、普通、外貨準備に伴う為替差損益は中銀P/Lに乗ってきます。では、通貨高を主因とする中銀の債務超過がその通貨の暴落をもたらすでしょうか?そのような倒錯した議論になるわけです。大幅な通貨高と中銀の債務超過は併存します。
私は日銀の政策を擁護する者では全くありませんが、「出口の損失が怖いから緩和を修正しろ」は少し違うと思います。中銀の財務健全性が重要ではないとは思いませんが、やや騒ぎ過ぎのきらいがあるように思うことがままあります。やさしく難しい課題を説く、宿輪先生の日銀債券保有の論点講座。
銀行の国債保有リスクへの監視体制が厳格化する方向が出ている。
具体的には、既に存在していたアウトライヤー規制(1%金利がパラレルシフトないしは99%VaRが与える損失が自己資本の20%に達したら「アウトライヤー銀行」となる)が厳格運用されるという見通しである。
宿輪先生は、民間でこんな規制があるなら日銀はとうに引っ掛かっていると指摘。非常に分かりやすい「ちぐはぐさ」の問題提起である。そもそも日銀と金融庁は反対の方向を見てる。日銀は低金利下で銀行が国債偏重の投資をしているのを変え、外貨に投資を拡大することを狙っていた。ポートフォリオリバランスだ。しかし、金融庁は民間銀行の外債投資には目を光らせてきた。矛盾はそこかしこにあるということだ。