ソフトバンク、ロボット開発の米ボストン・ダイナミクスを買収
コメント
注目のコメント
公式IRリリース等から気付いた点をいくつか。
https://www.softbank.jp/corp/set/data/news/press/sb/2017/20170609_01/pdf/20170609_01.pdf
10兆円のビジョンファンドからではありません。グループ子会社による買収、とあります。しかしその子会社がどこかは書いておりません。やや不自然です。
買収価額、取引条件の一切が非開示です。最も不自然な点です。これだけの注目ロボティクス企業です、確かにAlphabetとSoftbankの全体業績に与える影響は短期的には軽微ですが。
日本のスタートアップが米メガに買収された数少ない事例として有名なSchaftも、今回セットで買収します。
トヨタによる2社の買収は規定事実のような報道もありましたが、実際は条件交渉でソフトバンクが競り勝ったものと推測されます。
ペッパーを含めてソフトバンク、孫さんは人型ロボットにこだわりがあるように見えますが、ロボットのなかでもそれは短中期的な収益性は最も低く、現在最も実用ベース、収益ベースで優れたロボットはアーム型ロボットです。ちなみにアーム型のシェアは安川電機やファナックなど日本企業が強い分野です。
以上を総合勘案するに、単なる買収だけではなくてAlphabetとソフトバンクの両者間でなんらか別の取り決めがあるか、あるいはソフトバンク内で別件も含めた大きな構想があってその一環であるという見立てが出来るのかもしれません。前々職(トヨタ)とのディールが注目されていた案件が、前職(ソフトバンク)でクローズするとは、エキサイティングです。
ボストン・ダイナミクスやシャフトを人工知能とかロボットと言うバズワードで捉えると焦点が見えにくくなりますが、「究極の制御メカトロニクス屋さん」と考えると、トヨタでは合意せず、SB入りした理由もわかりやすいのではないでしょうか。
上位の部分は欲しいけどこれ以上制御やメカトロは不要なトヨタ(だからボストン・ダイナミクスのバリュエーションが高く見える)と、制御やメカトロを持っていないSBグループ(だからボストン・ダイナミクスのバリュエーションが適切に見える)。
トヨタとSBが競ったというより、トヨタが降りてSBが拾った構図ではないかと。
面白い展開ですね。DARPAロボティクスチャンレンジをいろいろ取材した者としてひとこと。
同チャレンジに入れ込んだ、ラリー・ペイジさん。その流れもあり、ボストン・ダイナミクスや周辺の歩行型ロボット研究ベンチャーを買い漁り。元・同チャレンジ統括マネージャーで、現TRI(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)社長のギル・プラットさんに本件、直接聞きましたが、その経緯に対して「ぼやかした回答」でした。
結局、こうしたロボット開発、そして自動運転の通称グーグルカー・現Waymoは、アルファベットとしては「旬を過ぎた投資案件」であり、どのような形にしても、EXITする時期。
ということだと思います。
これをソフトバンクがどう料理するのか?
中国に買われるよりは良かった、というのが率直な感想です。