サウジ主導で中東4カ国がカタールと断交-イランとの緊張巡り
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もう一月ぐらい互いに非難合戦をやっていたカタールとエジプト、サウジ、バーレーン、UAEの四ヶ国ですが、遂にここにきて断交に踏み切りました。
私の知る限りカタールと4国との対立の発端は、カタールが国際ムスリムムラマー連盟会長のカラダーウィー師を保護したことだとされています。
カラダーウィー師はムスリム同胞団の精神的な指導者と言われており、又ハマスの対イスラエル攻撃においても彼のファトフが大きな拠り所になっていると言われる人物です。
ムバラク政権崩壊後、カタールはカラダーウィー師のスポンサーとしてムスリム同胞団を通じてエジプト内政への干渉を行い、又シリアにおいてはアルカイダ系のヌスラ戦線(現シャーム解放委員会)の有力なスポンサーとして、一時アサド政権を追い詰めました。
又リビアの内乱では、GCCで唯一NATO側に立ち、カダフィ政権崩壊後は、トリポリの統一政府を支持、ハフタル将軍派を支持するエジプトなどと、ここでも対立しています。
宗教的にはサウジアラビアと同じワッハーブ派なのですが、何故か外交的にはイランに近く、しかも国内にはアメリカ中央軍の司令部まであります。
こうしたカタールの不可思議な動きは、国外のあちこちの勢力を支援して、裏から操ることで紛争を国外にとどめ、自国の安全を確保するという、独特の安全保障政策によるものとされています。
その意味で、エジプト、シリア、パレスチナ、リビアと悉く打つ手を外し、遂に周辺国との断行に至ったのは、策士策に溺れるといった感があります。
又、このタイミングで断交になったのは、いざという時の後ろ盾だったアメリカが、トランプ政権の誕生でサウジ寄りになり、先日のトランプ中東歴訪によって一気に両国の差、特に安全保障機構へのスタンスの差が表になったからでしょう。
今後のカタールの出方ですが、個人的にはもしアメリカが仲裁に動かなければ、同じスンニ派のトルコと関係を強化する可能性が高いと考えています。
この両国が組むことで、特にシリア情勢にはもう一波乱あるかもしれません。2011年5月6日、菅直人は中部電力の浜岡原発を超法規的な「首相要請」によりノープランで止めてしまった。その翌日、三田敏雄中部電力会長はカタールに飛び、135万トンのLNG供給のサインをしている。
安全性の懸念から浜岡を止める判断が正しかったとしても、後先考えないこの行動は後に大きな混乱と禍根を残した。
LNGに関して言えば、当時カタールは7700万トン/年という当時空前の供給キャパシティを建設したものの、米国がシェールガス革命で予定していた需要がなくなってしまったため、売り先を探すのに必死で、日本にも盛んに売り込みに来ていた。日本の企業もそれを見越して足元を見ていたので、価格交渉には非常に慎重だった。
それがこの一件で立場が逆転する。当時の交渉では向こうの言い値を飲まざるを得ない状況だったと聞く。そして、日本は「アジアプレミアム」と呼ばれる世界で最も高いLNGを買わされ続け、その余波を韓国や台湾も受けることになる。
カタールから日本へのLNG輸出額はそれまでの4000億円台から1兆4000億円に一気に増加し、LNG調達先としてオーストラリアと1位を争うようになる。特に中部電力の輸入量が多い(2015年は50%がカタール)。
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2014年の原油安や欧州金融危機による欧州需要現実的以降は、LNG価格は比較的落ち着いており、カタール経済は苦しい状況にある。
トランプがサウジに訪問し巨大な経済協力と武器供与を発表したが、このサウジ偏重の態度が誤ったメッセージとなり、中東のパワーバランスを崩しているのだとしたら、事態は深刻。米-イランの代理戦争にもなりかねない。カタールとイランは海底ガス田開発の利権で対立してますが。マーケットも英国テロには鈍感でもこちらには反応した。
日本企業は、地下鉄建設(三菱重工)や、淡水化プラント、発電所など、様々なインフラ事業を始め、広範な経済関係がある。日本に関係はしてくるんだろうけど、いまいち実感が湧かないし、地理的な知識・政治的背景の理解も不足している。
おそらく、ヨーロッパ諸国の北朝鮮問題に対する認識もこんなものなんだろうな。