【MIT教授】「30年の停滞」を産んだ日本のイノベーション欠乏(前編)
コメント
注目のコメント
ソフトウエア軽視は、今でも顕著です。日本の最大の問題の1つであることは明らかです。
それはハードウエアで成功してきた人たちがソフトウエアを理解できず、また過去の成功によって権力・権限を維持しているためです。結果としてハードウエアの既得権を維持する判断が今でも強力に働いています。
これに人財の流動性の少なさやリーダーのトップダウン力の弱さ(俺のいうこと聞かないと首だと部下にいえない権力基盤の弱さ)が、変革を困難にして、現場維持を後押ししています。
ソフトウエアで国の予算を取るのは今でも大変困難です。AIブームで多少改善の兆しがありますが、額や比率で見たら、極めて小さい状況が続いています。クスマノ先生は、今、東京理科大の副学長で、理科大自身の改革に努力されています。私の属するイノベーション研究科は、特に、クスマノ先生の指導のもと、来年から、また大きく発展します。今回、私も含めて、外部からコンサルやアナリストなどが参加したのも、そういう背景です。
クスマノ先生とは、月に1、2回、会議をもってますが、日本語が堪能。
また、先生のストラテジールールズなどの本は非常に参考になります。
もっとも先生が理科大MOTが注力しているのが、アントレプレナーシップであり、その一部の科目を私も担当しております。
われわれは、まさに、イノベーションをどうしたら起こせるのか、を研究し、提案するわけであり、後編?の続き?が、課せられた重くも楽しい使命です。
イノベーションは化学反応のようで、気圧、雰囲気、触媒が鍵で、あり、いろいろ掻き回すことと、お調子者の「もつけ」が大事です。日本の戦後の焼け野原のあとは、起業家だらけでスタートアップブームでした。その後に米国の西海岸で移民を中心に、数は少なくても狭い地域で高密度にスタートアップ成功者が出たおかげで「隣のあいつがやってるから、自分もできるかも」と、若者による血気盛んなスタートアップブームがおき、今に至ります。
そのスタートアップ効果を目の当たりにした他国、例えばイスラエルなどは国策で起業支援をしてスタートアップ育成・促進し成功してます。日本だけGDPが停滞してるのは、戦後の焼け野原以降はスタートアップによる新陳代謝が広がらなかったからですね。スタートアップが成熟企業になり、そのまま主要産業でのスクラップアンドビルドが起きなかった。
日本人は我慢強く、組織の延命が得意。スクラップアンドビルドには尋常ならざる強さを発揮するのに、そのきっかけのスクラップを自ら選択することは無い。
こうしてみると、300年続いた江戸時代とその後の明治維新が日本の特性を物語っているかのようです。
生命の危機に晒されるまで、すなわちシステムが崩壊するまで、耐え忍び我慢する。でもいざとなれば、火事場のクソ力。
しかし生命の危機になる前に、定常的に一定のクソ力を発揮する人が出て、社会がそのクソ力の邪魔をしない仕組みになっていると、産業に新陳代謝のモーメントがついて、効率的に経済が伸びるわけです。
役割分担とエコシステムですね。
スター資質の人だけが起業をやってるうちは、特別な人による特別な活動に過ぎないですけど、起業の数がキャズムのような、なんらかの閾値を超えると、「自分にも出来るかも!」という想いが出来て、役割としての起業家が増えるのではないかな、と思っています。
ちゃんとやれば平均的リターンは宝くじより良いので、宝くじがあんなに好きな日本人は、起業も出来ないとは思わないんですよね。笑
とにかく大企業の中の「新事業開発部」系のものは高コストで成功確率がスタートアップより低いせいで日本の産業の新陳代謝が停滞してるのは自明なので、スタートアップに新陳代謝をして貰うしかない、というのをそろそろ学校で教え始めた方が良いのではないかとすら思います。(本気で日本の産業をなんとかしたいならば!)