【企業分析】アイコスに怯える、「超優良企業」JTの大誤算
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JTの方とお話しすると、みなさん決まって「早くプルーム・テックを全国展開してほしい」とおっしゃられます。
ただ、営業現場の想定をすると、「紙巻たばことプルームのどっちをプッシュすればいいんだろう」と頭を悩ますそうです。
これから、JTがこの矛盾にどう立ち向かうのかが気になります。プルームテックは、前身のプルーム時代からフォローしているが、やはり薬事法の規制でニコチンリキッドが使えないのが痛い。アイコスは別の方式を採用しているぶん、タバコカートリッジの開発に手間取ったJTに先んじたと言える。が、JTも体制が整って来たので、反撃に転ずるだろう。
ここが全てをものがっています。
『PMIはアイコスを開発するにあたって、紙巻たばこを否定した。一方のJTは、紙巻たばこをいまだ否定することができていない。』
規制の効いた参入障壁の高い業界の中では、新規参入は一般的には起こりづらいと考えられます。さらに紙巻きたばこの長い歴史をみて、代替品の脅威に対しても備えはできていなかった。
しかしPMIという既存事業者が『既存事業を否定』して新たなる代替品を投入してきた。文章だけを見ると大したことはなさそうですが、新規参入にも代替品にも免疫を持っていない企業にとってみれば、あたかも見えない角度からパンチを打たれたような感覚でしょう。
このようなケースは、多くがテクノロジーを持ったベンチャーによって起こされるものですが、驚くべきは同業、しかも大手のPMIによる焦土作戦とも取れる代替品の投入です。新しいテクノロジーではなく、すでにある技術を使ってタバコのフレーバーと吸い心地を残したまま有害物質を90%以上カットする製品の発売。
・既存事業者による既存製品の否定
・参入障壁の高い業界の中でのイノベーション
・プロダクトスペック、デザイン、チャネル、価格、プロモーション全てが有機的につながっている
このような事例が他にないか探してみましたが、見当たりませんでした。
自社事業の否定による新規市場の創出。まるで火の鳥が蘇るときに自らの身を火の中に投じるさまによく似ています。
経営戦略の新しいケースとして活用できそうですね。