税制改革も難航か=米、夏に向け攻防
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下院共和党議員が発表した税制改革の下地、すなわち「Blue print」と呼ばれる税制改革案について、税率面でトランプ大統領が15%、共和党案は20%になっていて差があることが主に報道されていますが、細かい内容はあまり日本で報道されていないので、少し触れておきたいと思います。
分かりやすいように売上100、売上原価60の取引を例として用いると、まず普通に計算すれば100-60=40が利益となり、この利益に税率が掛けられます。
ところが、これをBlue printベースで見た場合、税金額が変わってきます。まず、海外から仕入れてアメリカ国内に販売する輸入業者の場合、売上原価が損金算入されませんので、利益の40に税率を乗じるのではなく、売上100に税率が掛けられます。よって、支払わなければならない税金が大幅に増えてしまいます。
一方、輸出業者については、売上高が益金として加算されません。そうすると、税金計算に用いる数字は売上原価60だけになりますので、利益が出ているにもかかわらず、税金は0になります。
輸出の他に国内製造・国内販売でもし100の利益が発生していれば、100×20%=20で20の税金が発生しますが、上記の輸出分の減税が入りますので、結果20-20=0となり、税金はネットされて0になります。
こんな感じになると、輸出業者と輸入業者で明らかに不公平感が出てきます。例えば、アメリカ国内で作った作品を海外に発信する映画製作業者はウハウハですが、輸入が多いウォールマートではかなり税負担が増えてしまいます。
また、日本企業でこの恩恵を受けるのは、アメリカで映画ビジネスを営んでいるソニーでしょうね。