人工知能がもたらす「新しいエンジニア」の時代には、物理学者がテック業界を支配する
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注目のコメント
データの活用やAI分野では理論物理屋が大変大きな潜在力を持っていることについては、これまでも私は発信してきた。MCMCやラグランジュアンやハミルトニアンなどは物理発の技法だし、業界にも物理出身の人が活躍しているのが目立つ。私も実は理論物理出身である。日本の理論物理の人たちをデータやAiに移行させることでこの分野の人材問題を一気に解決できないだろうか?
理論物理学者の末席に座らせていただいている身としては、物理学徒が異分野・異業界で評価されるのは素直に嬉しい。ただ、記事中で出てくる物理学Ph.Dホルダーのボイキンさんが、物理学の将来の展望に対して悲観した結果、研究者を辞めたのだとコメントしているのを見ると、残念に思う。なぜならば、物理学はまだまだ発展途上であり、研究すべきことはたくさんあるからだ。身近なところで言えば、生物の起源や、脳の仕組み、人間の精神もまだ解き明かされていない。物理学がこれらを完全に解き明かせるかどうかは分からないが、物理学を用いてアプローチする方法はあるだろう。また、究極の理論と言われている量子重力理論もまだ未完成だ。ボイキンさんは素粒子物理学に幻滅したのかもしれないが、それよりもこのアカデミアの激しい競争のため、物理学分野で安定した教授職を得ることが非常に難しいことが遠因だったのではないだろうか。その意味では、アカデミアですでに過剰なポスドクや博士課程の学生達がどんどん違う分野や業界に流れ込んで人材の流動化が起こるとすれば、総論としては社会にポジティブなインパクトを与えられるのではないだろうか。
元理論物理の院生でしたが、新卒一週間でビジネスとプログラミングの世界は物理とまったく違うと思いました。
物理の目的は自然だと思っていました。しかしビジネスの目的は顧客ですし、プログラミングの目的は同僚や顧客が運用できることです。いずれも他者が目的になります。
物理のように、複雑な事象を単純なモデルにすることは有効です。しかし人間を中心にした問題解決、ひとことで言えばマーケティングが適切であってはじめて有効になります。
物理が強力でも、それは手段であって目的ではありません。その意味でタイトルはミスリーディングだと思います。
もっともマーケティングを理解した物理屋がたくさんいたら、テック業界を支配しちゃうかもしれませんけどね。