コワーキングスペースWeWorkの企業価値はなぜそんなに高いのか?バブル?
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私は最近、Regus型の設備から、wework型のコワーキングスペースに移りました。(我が家近くにweworkがないので別のスペースですが)
両方体験して思ったのが、「あ、これって通信のビジネスモデルと同じだ」ということです。通信は、光ファイバーや無線塔という固定資産にどれだけの数の月額料金を払うお客さんを詰め込めるかが勝負で、とはいえ詰め込みすぎると使いたいときにスペースがなくてお客さんの利便性が低下して離れてしまうので、そこをうまくバランスするのが勝敗の分かれ目です。
Regus型は結局「小さいオフィスを固定的に貸し出す」という従来のオフィス貸しに少々の付加価値をつけたもので、固定オフィスを持たない契約型の顧客が使えるスペースがとても小さく、時間も限られています。私はおもに会議室のために使っていましたが、だんだんお客が増えて会議室が取れなくなってきて、会議室を使わない月は無駄にお金を払うだけであほくさい、となりました。
これに対し、wework型はフリースペースがずっと大きく、時間ももっとフレキシブル、会議室以外のフリースペースを好きなときに使えるというのが魅力でした。メンバー向けのイベントやコミュニティ的サービスもありますが、ビジネスモデルの根幹部分は「区切りのないスペースを統計多重的に効率的に使える」ということだと思います。
通信系の方には、「TDMAからCDMAに移行した感じ」といえばおわかりでしょうか?(普通の人にはますますわからないですね、済みません・・)
そして、スポーツクラブなども同じですが、詰め込んだメンバーに「幽霊部員」が多いほど儲かります。
詰め込み具合と料金のバランスが勝負ですが、経験的に「固定資産に詰め込むビジネス」は儲かると思っています。そこに、さらにweworkはかっこいい場所というブランディングに成功しています。だから、valuationが高いのだと思います。起業家特化のコワーキングスペースをマネージャーとして運営してましたが、単なる賃料だけでは全く儲からないビジネス。WeWorkが強いのは賃料以外のビジネスモデルがあるからで、単なる"コワーキング"ブームはちょっとあぶない気がしています。スタートアップや事業会社の事業に役に立つようなリアルなエコシステム、コミュニティを作れるかどうかにかかっていると思います。
周辺ビジネスモデルとしては、プリンターでいえばインクのようなもので、入居者向け労務や税務などのバックオフィスサポート、保険やジムなど福利厚生優待、そして大企業向けプラン(オープンイノベーション関連)など、多様な収益源がある。営業体制も万全に整えているはず。
もうひとつ注目すべきは、CEOがイスラエル人。金融に強いイスラエル人のことだから、バリュエーション交渉もうまそう…。そして不動産投資的な観点で展開しそう。不動産大手ともアライアンス組んだりして、場の調達もうまくいっている。一昨年、不動産の事業を検討していたときに調べたときの所感。
- イケてるスタートアップ、個人事業主、大企業の新規事業のチームなどが使っている => 良いコミュニティを求めて人が集まる
- 不動産の開発業者や地主とのパートナーシップ。地主やオーナー、不動産ファンドからすれば、通常のオフィスと比べて利回りの良いビジネスモデルを提供してくれるのでしょう。(記事の参考資料の彼らのピッチ資料のp15など)
- 日本のスタートアップのオフィスについていえば、デザインの良い、居心地の良いオフィスを探している企業は多く、また敷金の負担や与信の問題で苦労することも多いので、ニーズはある程度ありそう。
- WeWorkのイケてるコミュニティを日本に作り出せるか?については前提条件異なるので難しそう。